
先週末は奈良に出かけてきました。
五重塔の横にある「塔の茶屋」で茶粥のお昼ご飯を食べた後、
そのまま興福寺の観光に向かいました。
何度も行っているのに知っているようで全然知らない奈良。
奈良のお寺はどこも京都のそれに比べると広々した空間があり、
大陸風ののびやかさを感じます。
興福寺といっても奈良のシンボル的な五重塔を除くと、
私はあまり詳しい知識がありませんでしたが
ここには非常に多くの素晴らしい国宝、重文が所蔵されています。
今まで知らなかったのが恥ずかしくなったほどです。

写真の五重塔と東金塔は共に室町時代の再建ですが
国宝になっています。そうそう、興福寺自体も世界遺産です。
建物もそうですが、国宝館の展示は大変見ごたえがありました。

興福寺所蔵の仏像の中で多分一番有名なものがこの阿修羅像だと思います。
阿修羅はインド神話に登場する神さまで、本来はもっと猛々しく
怖い顔つきの悪神であったようですが、興福寺の阿修羅像はとても優しいお顔です。
釈迦の教えによって迷いから目覚めつつある過渡期の表情を表しているといわれています。
少年のようなあどけなさ、その一方で、どこかに激しさが秘められている印象も受けました。
他にも国宝級の仏像がずらりと居並ぶ姿は壮観のひとこと。
詳しい内容はここから見て下さいね。
立派な仏像が多くありましたが、もうひとつ印象に残ったのが木造金剛力士像。
筋骨隆々とした姿で、圧倒的な迫力、存在感を醸し出してました。
その写実性の精緻なこと。
筋肉の付き方はもちろんですが、血管が浮き出ている様子まで(笑)
如実に再現されているんですよ。
そして今回の展示の印象を更にグレードアップしていたのは
やはり展示の方法だと思います。
仏像がガラスケースにいれられていないので、ガラスに遮られることなく
仏像と対峙することができました。照明の効果も素晴らしく、
仏様一体一体に宿る魂を感じることができるようでした。
ひとつのお寺でこんなに国宝を所蔵しているのも驚きですが
実際は明治の廃仏毀釈の時に相当数が壊されているそうです。
もし、新政府による破壊がなければ、
国宝数は現在の3倍はあっただろうと言われています。
廃仏毀釈が盛んだった時、あの五重塔さえもが
もうちょっとで壊されて薪にされてしまうところだったとか。

新しい時代は常にひとつ前の時代を否定することから始まりますが
今の時代から見るとなんとも、もったいないことをしたものですね。

私たちが奈良を訪れた日は雨が降ったり、やんだり・・と
大変不安定な天候でした。
一時は強い雨が降り出し、遠くでゴロゴロ・・と雷の音が聞えました。
春雷ですね。また一歩、春に近づいているのを感じました。
興福寺の国宝館はぜひ機会があったら
行ってみて下さい!と皆さまにお薦めしたいところです。^^