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先日、仕事中にある専門用語の英語訳を検索していた時に
たまたま著者のホームページにたどりつき、
この本の紹介があったので、それをきっかけに購入、読んでみることにしました。
 
ソニーの平凡な一社員だった著者が突然、
会社創業者である井深大氏のカバン持ち兼通訳に任命され、

海外の一流のVIPを相手に奮闘した4年半のことを綴った本です。
 
とても読み易くて面白かったです。
読み終えてみて、英語の勉強法よりも、著者の目を通して描かれる
井深氏の魅力的な人間性についての部分が印象に残る一冊でした。
その中でも特に記憶に残ったのは
井深さんは80歳を超えてもなお、常に学ぼうという気持ちを
もっておられたというところです。
それは英語についてもしかりで、著者が通訳の時に使う英語をじっと
聞いていて、その次に自分が英語を話す機会がある時には
ご自分でも使ってみたりされるので、
旺盛な学習意欲に当時20代だった著者も驚いたと書かれています。
 
人並み外れた熱心さと、常に広く多くのものを見ておられたところ、
エネルギッシュであると同時に細やかな気遣い、
その器の大きさには、やっぱりすごいなあと思うところがたくさんあり、
盛田さんと共に戦後の焼け野原で始めた小さな町工場を
世界の大企業まで育てあげた
この偉大な人の横顔を知ることができるようでした。
電機メーカーの名誉会長という立場でありながら、既に80年代に
東洋医学や幼児教育にもかなり高い関心をもっておられたようです。
井深さんという方の温かな人間味を感じさせるエピソードも多くありました。

最後の下りで、井深さんのお葬式に出た時、当時一緒に仕事をした人たちと
「井深さんのそばで仕事ができて本当に楽しかったね」とみんなが異口同音に
言っていたといいます。
 
当時、素晴らしい商品を次々と世に送り出していたソニーには
こんなすごい人たちがいっぱいいたのかと思うほど。
著者の方も謙遜されてはいますが、とても優秀な方だったのでしょう。
このような環境で仕事ができたなんてとても素晴らしい経験だと思います。
 
また他者とコミュニケーションをとる上で何が大切なのかという点には
共感する部分が多くありました。
話す内容、主張があることと、ユーモアと同時に相手への細やかな心配り、
温かい思いやり・・・
実際の英語力や資格の保有云々よりももっと大切なものがあるということ。
いろいろ勉強になりました。
 
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