
昨日は名古屋へ行ったついでに、コンサートホールと同じ建物内にある
愛知県美術館で今月22日まで開催されているジャクソン・ポロックの回顧展を
観てきました。
上の写真はウエブサイトからお借りしたものですが、今回の展示でメインとなっていた
「インディアンレッドの地の壁画」という作品で、テヘラン美術館が所蔵しているものです。
ポロックは巨大なキャンバスを床に置き、顔料を垂らしたり、飛び散らしたりしながら
全身でキャンバスに向かって造り上げるアクション・ペインティングの先駆者です。
私が初めてこの人の作品を見たのは20年ほど前にオーストラリアのキャンベラで。
それより以前にオーストラリア政府がアメリカ人の作品としては
2百万ドルという空前の金額でこの作品を購入し、とても話題になったと
聞きました。上の作品の倍くらいの大きさで、大変インパクトのある絵だったので
遠い昔のことながら、いまだに記憶に残っています。
今回の展示会では初期から頂点を極めて晩年に至るまでの作品が
時系列的に展示されていました。

ポロックが実際に使っていたアトリエを実物大で
再現したものも展示されていました。
ここだけは実際に靴を脱いであがり、ポロックと
同じ視点からキャンバスが置かれていた床を
見つめることができました。
ポロックは僅か44歳という若さで、交通事故により
亡くなります。若い頃からアルコール中毒でこの時も
ビールを飲んでいたようです。
事故の時、彼が実際に履いていた靴などまでが
展示されていて、ちょっと怖かったです

ポロックの作品の前に立つととても強いエネルギーを感じる一方で、私はそれとは逆に何か神経症的とでもいうか不安感を掻き立てるネガティブなものも同時に感じてしまいました。
ポロックが亡くなった1956年以降、彼の作品の評価が高まったのは
単に製作者である本人が亡くなって
作品の供給数が減ったからというだけの理由でもないような気がします。
名古屋での展示は22日まで。
それ以降は東京国立近代美術館で展示があるそうです。