
先週末は、今年5月に津市の千歳山に移転開館した石水(せきすい)博物館に行ってきました。
岩田池公園の近くにあるのですが、それはそれはわかりにくい場所にあり、
津市民でもない私にとってはこの博物館がある垂水の千歳山も初めての場所でした。

博物館は緑豊かな閑静な住宅街の中にありました。
鳥の鳴き声が絶え間なく聞こえてきて、とても良い環境のところです。
コンクリートの壁と一面のガラス壁の構造の建物は、
安藤忠雄さんの建築に似ているなあと思いました。

1階は江戸時代に伊勢商人として江戸で成功を収めた
川喜田家のコレクションの一部が展示されていました。
六曲一双の洛中洛外図屏風や近江名所図屏風など大変見ごたえのある
大きな作品の他、バーナード・リーチや尾形乾山の陶芸作品、
絵画ではマティスやピカソの作品もありました。
2階は川喜多半泥子(はんでいし)の作品が展示されていました。
川喜多半泥子は川喜多家16代当主であり、陶芸家であった人です。
この方は地元百五銀行の頭取もつとめられていて、その一方で
趣味は書画、茶の湯、俳句、写真など、と実に多彩です。
東の魯山人に西の半泥子と言われるのも頷けるように
その興味の対象の広さは先日観てきた魯山人に共通するものがありそうです。
作品の中には去年の夏、県立美術館の展示でも観た記憶のあるものもありました。
今の季節の秋にちなんだ作品を中心に展示してありましたが、
形にとらわれないというか、大らかな印象のものが多かったです。
抹茶のお茶碗も説明がなければ鉢か丼に見えてしまうほど大きいですし、
作品名にも遊び心が感じられるものが多くありました。
この方のお人柄が偲ばれて観ていると楽しくなってきます。
写真も展示されていました。オフィスで働いていそうな格好で轆轤を回している姿や
カメラを覗きこんでいる姿などからは半泥子さんもきっと普通の人の何倍もの量の
好奇心を持っていたのではと想像しました。

こちらは博物館前にある千歳文庫。
昭和5年の建造で、高島屋日本橋店や京都市美術館を手がけた前田健二郎の設計によるもの。
立派な建物ですがこれは収蔵庫として建てられたもので、今も現役だそうです。
定期的に展示の入れ替えがあるようなので
またゆっくり時間を過ごしたい時などに訪れてみたいところでした。
石水博物館
三重県津市垂水3032-18