多分今年はもう映画を観ないと思うので、
とりあえずメモとして、過去3カ月に観た作品の感想文を。
 
悪人
若い女性が殺人事件に巻き込まれる。
犯人は出会い系サイトで知り合った土木作業の男性。
彼はその直後、同じくそのサイトで別の女性と出会い、捜査の手から逃げるべく
逃避行するという話です。客観的な筋書きだけ読むと悪いのは作業員なのですが
必ずしもそうとは思えない。
最初から最後まで共通して感じるのは希薄で表面的な人間関係。
今の時代の人間関係をいろんな角度から切り取ってあります。
人の心の痛みを僅かにも感じることのできないチャラチャラした大学生。
その彼を必死で追いかける女の子。
彼女は土木作業員の青年を貧乏人だからとバカにする。
厳しい仕事をこなしながら不器用に生きている作業員の青年。
警察に追いかけられる彼をかばって一緒に逃げるOLの女性は
地味でまじめに生きてきた。
彼女が事件に巻き込まれ殺された後、それさえも飲み会の席で笑い話のネタにする
あの大学生を見ていると悪人はいったい誰なのかと思わずにいられないお話でした。
 
トイレット
「かもめ食堂」の監督が撮影した作品です。
バラバラの人生を歩んできた3人の兄、弟、妹のところに突然
日本人のばあちゃんがやってくる。
言葉も心も全く通じ合わなかった最初の関係が徐々に変わってくる。
観ている側も互いの心の交流から生まれる温もりを
感じることができる素敵な作品でした。
 
瞳の奥の秘密
アルゼンチンの映画で2009年アカデミー賞外国語映画賞の作品。
おすぎさんのトークショーを聴きに行った時、この作品のことを大変勧めてらした。
25年前に起こった殺人事件をテーマに現在と過去が交互に描写されていき
最後はとても意外な結末でした。
25年間、妻を殺した男を許さない夫、
25年間好きな女性に愛を告白できなかった男性。
瞳の奥の秘密というタイトルも良いと思いましたし、
心理描写が繊細で、余韻の残る、とてもよくできた作品だと思いました。
25年の「執念」?「情熱」?がすごいです。
この時代のアルゼンチンの社会的背景、司法制度を知っていたらもっと
深く理解できそうです。
 
ノーウェアボーイ
ジョン・レノンの子供~ティーンエイジャーの頃の実話をもとにした話だそうです。
彼が育ってきた背景にあった複雑な生い立ちと親子関係。
自分を生んだ母と育ててくれた叔母の間で心が引き裂かれそうになる場面があって。
どうしようもないお母さんだったけれど、
そのお母さんのおかげでジョンは音楽に目覚めた。
ポール・マッカートニーやジョージ・ハリソンとの出会いはこんなふうにあったのかと。
ジョンはどこにでもいるごく普通の傷つきやすい10代の男の子として描かれています。
ジョン・レノンの作品には「愛」を歌うものが多いのはこうした経緯があったからなのでしょうか。
最後に流れる「マザー」の歌詞の意味が深く胸に沁みこんでくるようでした。

最後の忠臣蔵
赤穂浪士の吉良邸討ち入りでひそかに生き残った二人の男のその後の物語でした。
元禄時代の事件が現代にも語り継がれているということは
やはりこの価値観は今の日本人の中にも存在するということなのですね。
忠臣蔵は舞台や映画やドラマなどでこれまで何度も観ています。
「最後の忠臣蔵」も良い話だったと思いますが、
この創り方はいかにも見る側を泣かそうとしているように思えて仕方なく、
いまいち感情移入できませんでした。
 
 
 
 
 
 
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