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「あなたの人生はこれで決まる」というサブタイトルがついています。
天外伺朗さんの著書にはもう一冊同名のものがあります。
もう一冊は経営者向けに書かれた内容のようです。
あとでそちらも読んでみようと思います。
 
「運力」とは普通は「好運を呼ぶ力」と思われているけれども
本書でいわれている運力とは
「災難や逆境に直面し、その中に意味を見出す力。
不運の中から好運をつかみとる力」
と書かれています。
 
そこに併せて良寛さんの言葉、
「災難にあう時節には災難にあうがよく候。
死ぬ時節には死ぬがよく候。
これ災難をのがるる妙法にて候」
が引用されています。
 
最初は???と思いましたが、
「人間万事塞翁が馬」のことわざの中で
昔、馬に逃げられた人がいたけれど、
その馬はすばらしい駿馬を連れて戻ってきた。
今度はその人の子供が駿馬に乗っていた時に
落馬してしまった。
でも落馬して骨折したおかげでその子は戦争にいかずに済んだ・・。
という引用がありました。
 
好運、不運は一慨にそれときめられない
好運の中には不運が、不運の中には好運の種が
隠されているという教訓だといいます。
 
この馬の持ち主は運力が強いと著者はいいます。つまり、
「不運にも落ち込まず、好運にも有頂天にならない。
迫りくる運命を淡々と受け入れている」のです。
 
運のイメージについて大変わかりやすかったのは
「運」と「「海の波」が似ているという説明です。
周期性があるということ。
 
水の粒子が地球の重力に逆らって高い位置に持ちあげられる時、
位置(ポテンシャル)エネルギーが最大になる。
その時、水の粒子の速度エネルギーは小さくなり、
最大のピークでは水の粒子の動きは瞬間的に静止するのだそうです。
 
ピークを過ぎると波の高さは低く、ポテンシャル(位置)エネルギーが
小さくなります。しかし、そのぶん、水の粒子は動く速度を増し、
波のボトムではポテンシャル・エネルギーがゼロになっている代わり
速度エネルギーが最大になっているのだそうです。
 
波というのはポテンシャル・エネルギーと速度エネルギーが
お互いにやりとりをすることで進行していくという。
 
エネルギーのトータルは波のどの位置であっても同じということです。
運命も同じ構造であり、好運も不運もないという説明です。
 
友人にこの波の話をしたら
それは振り子の原理と同じだね、といわれました。
振り子は一番上にいくと、位置のエネルギーは最大になりますが
一瞬停まりますね。上に行くに従い速度エネルギーは小さくなり、静止する、
ピークを過ぎて下に向かうにつれ位置エネルギーは小さくなり、
速度エネルギーが増加します。
 
なるほどと思いました。
人間の運命の波も、この普遍的な現象と同じなら
ピークの時にはそこにはゼロになるものがあるということ、
ボトムの時には、逆にエネルギーが最大値になっているもの
好運の種があるということ、こうした考え方でみてみると
人生で起こることへの捉え方も随分変わるのではないかと思いました。
不運、逆境の中に意味を見出すことが大切・・・そう考えると
良寛さんの言葉の意味も、ああ、なるほどと思えてきます。