イメージ 1最近、段ボール箱2つ分くらい処分したのですが
私の部屋にはまだ本が500冊くらいあります。
 
そのうち多分、最大シェアを占めるのが司馬さんの本だと思います。
何年ぶりかに手をつけたら、面白くて最近またこればかり。
幕末を改めていろんな角度から見てみようと思って、
「最後の将軍」と「新撰組血風録」の二冊を読み返しました。
 
「最後の将軍」は江戸幕府の第15代将軍、徳川慶喜を主人公にした
小説。幕末は新しい時代が幕開けするまでの大荒れする嵐のような時期、
 
将軍という立場さえ、この荒波からは逃れられなかったのですね。
この時代を将軍、慶喜の視点から見てみると、
坂本龍馬や西郷隆盛、あるいは新撰組から見た日本とは全く違った風景が浮かんできます。
 
慶喜は家康以来、もっともすぐれた将軍だったと言われています。
この本を読む限り、やはり英明の人という印象がとても強いです。
とにかく頭が良くて時代の先々を見通してしまう。
 
徳川慶喜だったからこそ、大政奉還や江戸城の無血開城が叶ったのだと思います。
これが前代、前々代の将軍だったら、酷い内乱が引き起こって
結果的に日本は欧米列強の餌食になっていたかもしれない。
 
ただ、「貴人に情なし」と言われる通り、常人には理解しがたい言動もあり、
読んでいる側としてはあまり感情移入できずに終わってしまった感がありました。
冷たいと思われる言動もまた、より広い視点からは
日本全体の益にはなっていたのかもしれないですが。
 
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「新撰組血風録」は新撰組の隊士それぞれにちなむ
エピソードで綴られた短編集。
彼らが一番活躍した京都が舞台です。
この剣客集団を構成していた人々の横顔が見えます。
 
「誠」という志のもとに集まったはずの人々だけれども、
やはり組織になってしまうと必ず避けられない
人間関係や権力闘争、主従関係。
 
現代にも通じる人間の感情がある一方で、常に死と隣り合わせの
彼らの行動は緊迫感に満ち満ちて血生臭さが漂ってくるようです。
 
隊内での「粛清」によって命を落とした隊士がこんなにいたとは。
強い新撰組をまとめていくためには
これほど厳しい統制が必要だったのでしょうけれども
読んでいて身震いしました。
 
そんな中で「沖田総司の恋」は、ほっとするような微笑ましい感じがしました。
同じく沖田総司の性格がにじみ出る「菊一文字」の章も心に残りました。
 
 
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