会社の夏休みの一日、三重県菰野町にある
パラミタミュージアム に行ってきました。
大きくて立派な美術館です。
これはエントランスの写真。

ここは三重三区から選出されている岡田外相の一族が創業した
イオングループのひとつ岡田財団によって運営されています。
ミュージアムの名前、パラミタというのは般若心経から来ているようです。
般若心経は「摩訶般若波羅密多(まかはんにゃはらみた)・・・」で始まりますが、
パラミタという音はこの中のパラミータ(波羅密多)、「彼岸、悟りに達する」に由来するようですね。

館内でも大変広いスペースを占める常設展が故池田満寿夫氏の
「般若シリーズ」。 陶芸彫刻作品が陳列されています。
生前の池田満寿夫さんは数多くの分野で活躍された方ですが
晩年は陶器による仏教芸術の表現に力を入れておられたようです。

この器?オブジェ?のひとつひとつに般若心経の経文が一語ずつ彫られています。
小石群を積み上げた賽の河原のイメージだとか。
私は小さい頃、お祖父ちゃんっ子、お祖母ちゃんっ子だったので、
学校から帰ってから、そして週末は、いつも祖父母の家に入り浸っていました。
祖父母が毎朝毎晩、唱える般若心経を傍らで聴いていた私は
その頃にこの経文を全て耳で暗記してしまっていました。
よく一緒に唱えたりもしました。
(祖父母が飼っていた九官鳥でさえも、
そのうちの「ぼーじーそわかー」という部分を暗記していました。
)

とはいえ、音で覚えているだけなのでどういう漢字が当てはまるのかわからないし、
その意味なんて考えたこともありませんでした。
改めて一文字一文字をみると、こんな漢字が当てはめられているのかと
子供の頃を思い出して少し感慨深いものがありました。
あー、この漢字があの音だったのかとか。
ところでなんで賽の河原か。
賽の河原というのは小さいうちに亡くなった子供たちが
あの世にある河原で小石をひたすらひたすら積み上げる作業を繰り返しているところ。
ひとつ積んでは父のため、二つ積んでは母のため・・というふうに。
ようやく積み上げたところで鬼がやってきてそれを全部壊してしまう。
子供たちはまた一から石を積み上げる作業を繰り返さなければならない。
怖い鬼がやってくる。壊される。その繰り返し。
川のせせらぎ、谷をわたる風の音を聞くと父や母かと
思って走り寄っていくけれども、それは大好きな父母の姿ではない。
また石を積み、鬼に崩され、また石を積む。
時々菩薩さまが現れ、その慈悲にすがる。
賽の河原というのはそういうところ。
小さい頃、幾度となく聞かされた話ですが、「なんで悪いことをしていない
子供がそんな怖い目に遭わなければいけないのか」と思ったものです。
仏教の教えでは子供が親に先だって死ぬこと、親を悲しませること自体が
罪だからだと教えられました。
小学校の低学年の頃に聞いた話だからうろ覚えだけれど
「きゃー、いま死んだら大変なことになるー」
と真剣に怖がったのを覚えています。
この頃に仏教が説く意味を部分的にではありましたが
祖父母の話からぼんやりと感じとったような気がします。
と、話が逸れてしまいました。


たくさんのお地蔵さま、仏塔も展示されています。
作者は土と火が創造と破壊を繰り返す「陶」の世界に
「輪廻転生」を感じたという説明書きがありました。
輪廻転生、全てのものは常に変転するという無常観、
この作品群が伝えるものと子供の頃に祖父母から聞かされた
いつまでも石を積み続け、壊され、また石を積む・・という、
賽の河原の話はそういうところに共通点があるように感じました。
長くなりそうです。また途中でエラーが出て
データが飛んでしまったらショックなので一回ここで切ります。