先日、豊田市能楽堂へ能楽を観に行ってきました。
演目は源氏物語の夕顔をテーマにした「半蔀」、
この前に平野啓子さんによる源氏物語の夕顔の下りの朗読がありました。

静けさの中に鳴る笛の音や小鼓、太鼓の音、
謡(うたい)の声を聴くのがとても好きです。
舞台の人たちの動作は茶道の作法のように端正で
無駄がありません。
煌びやかな能楽の衣装など、久しぶりに
古典芸能を楽しんできました。
でもお能自体は全部理解しようとすると難しいですね。
セリフもなかなか聞き取れませんし、
動作もすごく緩やかで歌舞伎のような派手な
動きもありません。

ところで源氏物語の「夕顔」について。
光源氏の周囲に登場する数多くの女性たちの中でもとりわけか弱く、頼りなげな女性です。身分もあまり高くありません。
ある日、源氏が乳母の家に見舞いに
立ち寄った時、隣家の垣根に咲く夕顔の花に心ひかれ、それを
折らせようとした時、そこの家の召使が扇に夕顔の花を乗せて
源氏のところにもってきました。
扇にはそれとなく源氏を誘うような歌が書かれてました。
かよわく見えながらも、自分から男性を誘うところなど
私は彼女に女性のしたたかさを感じてしまうのですが
源氏は彼女にすっかり夢中になってしまいます。
それからの日々、二人は逢瀬を重ねていきます。
これより前、源氏が関係を持っていた六条御息所という女性がいます。
身分も高くて美しく教養がある彼女に惹かれ、
源氏は一生懸命口説き落としたのですが、
実際恋人にしてみると、プライドが高くきつい性格の彼女には、
いまひとつ可愛さがなく、源氏も辟易気味。
こんな時に出会った夕顔ですから、
彼女の素直さやあどけなさが余計に源氏を魅了したのでしょうか。
一方、源氏の愛が薄れてきたと感じる六条御息所は煩悶し、嫉妬の塊になってしまいます。
話の展開は有名ですが、六条御息所の生霊が祟って、夕顔は死んでしまいます。
幸薄く、この世を去った夕顔を源氏は長く忘れられなかったのですね。
男性は自分を頼ってくる女性を愛しいと思い、女性は自分を守ってくれる男性に心を寄せる・・
つくづく・・男女の関係というのはうまくできているものだと思います。
源氏物語の話は現代では(特に女性に)受け入れがたい価値観かもしれません。
でも・・1000年を経て読み継がれている小説です。
そこに男女の機微の真理というか普遍性があるからこそ
時代の風雪を経てもなお今の時代にも残っているのではないかと思います。

さてさて、会場では有料ですが抹茶と和菓子の
サービスもありました^^
お菓子は今の季節にぴったりな
鯉のぼりをかたどったものです。
久しぶりに美味しいお抹茶をいただきました。

これは会場の入り口に活けてあった
花です。初夏を感じますね。