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全9巻の「小説太平洋戦争」、3巻目と4巻目を読み終わりました。
ミッドウェー、ガダルカナル、ニューギニア、インパールの途中まで。
日ごとに疲弊を増す日本軍、さまざまな指揮官の姿が描かれています。

小説の作者本人や彼の元同僚たちの多くが実際に従軍記者として
戦場に赴いた経験からなのか、作者の視線はひたすら、
大本営ではなく、上記の戦場で戦う人たちに向けられています。

日本にある参謀本部と戦いの現場との認識の違いに
読んでいる側も歯ぎしりをするような思い。
これは作者自身がそう感じていたのでしょう。
山本五十六長官の死もここまで読んでくると大変衝撃的です。

この本を読んでいると昭和の戦争は
いまの時代を生きている自分にはまだ近すぎるように感じます。
戦国時代は遠い遠い昔。
でもニューギニアやインパールで常識では考えられないような
環境の中で、国のため、家族のため、必死に戦う日本兵の姿からは
南国の熱気の中での汗の匂いとか、
生温かい血の感触とか、飢えの苦しさとか、
あまりにも生々しすぎるものが伝わってくるのです。
自分の祖父または父親の世代がこんな悲惨な経験をしたのだと
思うと本当に言葉にならない、そんな感想。