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日曜日は桑名市博物館で開催中の「松平定信展」を観てきました。
私は松平定信というと、元白河藩主で、そのあと幕府の老中になって
「寛政の改革」を断行した人だということくらいしか知らなかったのですが、
血筋的には8代将軍吉宗の孫にあたるのですね。

嫡男の松平定永が桑名藩の藩主であったことから、
松平定信に関連する資料やこの人が遺した愛用品、
作品が多く桑名市に伝えられているのだそうです。

写真の絵はウエブサイトからお借りしたものですが、
他には鯉や花、達磨などを描いた作品が展示されていました。
達筆な和歌や行書もありました。

興味深かったのは、本人手製の伊勢物語のかるた、それから
源氏物語を小さい冊子に36冊、全部書き写したものでした。
これを細写と呼ぶのだそうですが定信は生涯に7回、
源氏物語を細写しており、展示してあったのはその第6回目のものだということです。

あの源氏物語を縦5センチ、横4センチくらいの
本当に小さい小さい冊子に超・超極細筆で
延々と書き写してあるのです。
そして、きちんと結びをつけてミニチュアの箱に収めてあるのです。
これを見ただけでどれだけ肩の凝る作業であったことやら。
それを7回も繰り返すなんて。
この人は絶対A型だったのではないかと思うほどです。

当時のお殿様なら絵や和歌などは当然のたしなみとして身につけていたのだと思いますが、
これらの他には、茶道で使う茶碗や茶杓、香合まで、本人の作品が残っていたのが驚きでした。

広辞苑で調べてみたら、松平定信は隠居した後は「楽翁」と称していたそうです。
厚手の赤楽茶碗が展示されていて、「楽」と刻印してあるのです。
楽焼だから「楽」?でもこんなわかりやすすぎる楽焼を見たことないなあと
バカなことを考えていたら、楽翁の号だったのですね^^;

政治家としてしか、その名前を知らなかった「松平定信」という人物の
趣味人としての側面を知ることができた、なかなか興味深い一日でした。