徳川家康6巻目を読み終えました。
あと20巻、道のりは長いです^^。

戦国時代の悲哀をまざまざと感じさせられた6巻目でした。
信玄が陣中で亡くなり、勝頼の代になった武田家の家中は求心力を失っていきます。
父親が偉大すぎたこともありますが、その分、
勝頼の器の小ささがいろんなところで目についてしまいます。
奥平貞能が徳川方に内応し、長篠城は陥落。
この件で、武田方に人質として差し出されていた
奥平家の息子と嫁(とされていた)おふうは磔刑に処されてしまいます。
この処刑の仕方が本当に残酷で、戦国の世のならいとはいえ、読んでいて辛いものがありました。

近江では信長の浅井攻め。小谷城は落ち、信長の妹婿、長政は死んでしまいます。
お市の方は秀吉に救い出されますが、はじまりは政略結婚とはいえ、
仲睦まじくやってきた夫を兄に殺されたお市の方、後年にはまた悲劇が待っているかと
思うと、ここでも、いたたまれない気持ちになりました。

そして今度は家康の家臣、大賀弥四郎の謀反計画が発覚します。
徳川方では彼が武田勢に内応を謀っていたのです。
表面は実直を装っていますが、浅ましさこの上無い人物を信頼しきっている
家康と信康がもどかしくて仕方なかったので、謀反計画が露見した時には
やっと・・!と思ったほどでした。

が、何も知らなかった良心の塊のような無私な妻や、何の咎もない子供たちまで
これもまた磔刑に処せられてしまいます。胸が痛む場面です。

弥四郎は足軽の生まれで、偉い人の前に出るだけで声が震えてうわずるほど
小心な人間でしたが、家康の正室である築山殿と愛人関係になってから
随分尊大な人間に変わってしまいます。
もともとが気まじめで優秀な経理マンであったため
うまく引き立てられてトントン拍子に出世し、岡崎城の要職に就きますが
でも築山殿との関係と、出世が早過ぎたことで、自分の「身の程」を忘れちゃったんですね。
自分が主君にとって代われるだろうとか、夢と現実の境があいまいになり
不可能なことさえもが可能に見えてきてしまったという。
野心や欲望が自分の器を超えて膨らみすぎると怖いものだと思わされました。
似たようなことは今の世の中でも至るところで起こっているような気がしますが。