「徳川家康」26巻のうち、やっと3巻目を読み終えました。この10日間は職場のお昼休みにしか読書の時間をとれず、予定していた分の倍、時間がかかってしまいました。

この巻でようやく竹千代は元服して松平次郎三郎元信と名乗り、
翌年、今川義元の姪鶴姫と結婚、そして元康と更に改名します。

3巻目になって、竹千代改め、改め、元康は元服しても、いまだ人質の身です。
横柄な今川方の人間達にやりたい放題されて、彼と家来達も苦難の日々、岡崎の領民も
生活は貧窮を極めまさに「耐えよ、忍べよ」の日々。(/_;))
師と仰いだ雪斎和尚、愛する祖母が続けて亡くなり、気の強い奥さんと何かと居心地の悪い
結婚生活。ああ、ひたすら忍従の日々、という感じです。
こうした日々の中で家康は自分を信じて共に苦労を耐え忍んでくれている
岡崎の家来たちにいつか報いようと心を定めるようになるのです。

「人の一生は重荷を背負うて遠き道を行くがごとし」という家康の言葉にある「重荷」。
重荷は苦労であり、家康にすがる人たちのことなのです。
雪斎和尚は折りあるごとに家康に「重荷が人をつくるのじゃぞ」と話し聞かせます。
亡くなる前にも「短気を起こすな、短気は人を盲にするぞ」と教えます。
家康は生涯かけて見事にこの雪斎和尚の教えを身につけていったのですね。

重く暗い駿府から舞台が清州に移ると空気が一変します。
豊臣秀吉(当時は藤吉郎)が登場します。頭の回転の速い藤吉郎と信長の掛け合いの場面など
面白可笑しくスカッと抜けたものを感じます。信長に気に入られてとんとん拍子で出世していく秀吉。
信長の政策で商人が自由に出入りする尾張は殷賑に沸き、貧困に苦しむ岡崎の領民と全く対照的です。

そうしてとうとう今川勢と織田勢が対峙する時がやってきましたが、
織田信長の奇抜な戦略によって今川義元は桶狭間で斃れてしまいます。
信長の奇襲は改めて読むとすごい機略だったと思います。

それにしても、今川義元は領地の広さと兵の多さにすっかり慢心してしまっていたのですね。
信長が国を富ませて戦力をたくわえ、鉄砲という新しい兵器を手に入れて、兵を訓練し
敵を倒す機会を伺っている間も、駿河では、みんなで蹴鞠をして遊んでいるのです。
義元は眉を剃り落として、京都の貴族みたいな格好。
まるで平安時代で時間が止まっているかのようです。
尾張と駿河で同じ時間にこれほど対照的な光景があったのがとても不思議です。
最期に桶狭間で毛利新助にとどめをさされる前に相手に噛み付いた義元の歯は
お歯黒で真っ黒だったと書いてありましたし。

自分の首ねっこを押さえていた義元が斃れ、元康の運命もこれから大きく変わっていくのですね。