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アメリカといわれると「経済大国」という言葉が浮かんでも、
「貧困大国」という言葉が思い浮ぶことはありませんでした。
経済的にも政治的にもその存在感は圧倒的であり、
多くの移民や難民(政治難民も含めて)を
受け入れてくるなどアメリカには日本にはない懐の広さがある一方で
こんな側面もあるのかと驚いた一冊です。
社会の格差の広がりはいろいろと言われていますが、
その現実の一端を垣間見たようで驚きました。

貧困層は更なる貧困へ、中流層に属する人もいつ
貧困層に転落していくかわからない状況、
一方で富が雪だるま式に増えていく富裕層。

考えさせられたのは貧困ゆえに
「生活のために」志願してイラク戦争にいく人が
多くいるということでした。
決して大義とか愛国心などという
高尚なもののためではなくて・・です。
明日のパンのためには、そんな理想論を言っている場合ではないほどに
追い詰められた人達が多くいるということ。
生きるための選択肢が「戦争にいく」ことしかない状況、
そうした人達を収奪するかのごとく彼らにターゲットを向けた
貧困ビジネスの現実。

高額な医療費が払えず破産する人が多いという話は
国民皆保険制度のある日本では信じがたい内容でした。
サブプライムローンの犠牲になって家を失った人達の生活、
アメリカの児童には貧困層ほど肥満児が多いという現実、
行き過ぎた民営化の行く末がこれなのか、と思う内容ばかりです。

心配なのはアメリカのあとを追うように
社会が変化している日本です。
とても彼岸の火事とは思えません。
一昔前には「ワーキングプア」とか「格差社会」とか
「ネットカフェ難民」という言葉も一般的ではありませんでした。
将来的にはこんな人達をターゲットに「戦地で仕事をしないか?」って
勧誘する企業とかが出てきそうです。
現在の日本では2割の日本人が年収200万円以下で暮らしているそうです。
生活に困窮すれば、自分が食べるため、家族を養うために
手段を選んでいられなくなる日がくるかもしれません。

こうした事態をどうしたら避けられるだろうか、と
いろいろ考えさせられました。