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新しく「本」の書庫を作りました。
ここ数年、車通勤をするようになったのと
自宅でもパソコンをいぢっていることが多くて
読書をする時間がぐっと減ってしまいましたが、
昔から本を読むのも結構好きで、
今でもひとりの時間は読書に埋没しています。

これからは映画と同じく備忘録みたいに
折々で感想文でも書いてみようと思います。

最近読んだ本・・
暫く前に途中まで読みかけていて放っておいた小説を
ここ数日で一気に読んでしまいました。
翻訳版も出ていますが今回は原書のほうで読みました。

タイトルの「カインとアベル」とは
旧約聖書に出てくるアダムとイブの長男と次男の名前です。
神様が弟アベルの捧げものばかりを喜んだので、やきもちを焼いた
兄カインが弟を殺してしまうという、なんかイヤな話ね^^;。

この小説の時代設定は20世紀のはじめ。
同じ年の同じ日に、二人の男の子が誕生するところから始まります。
一方は米国の富裕家庭に生まれ、
父のあとを継いで銀行家の道を歩むカイン、
もう一方はポーランドの片田舎、それも父親が誰かわからず生まれて
拾われて貧しい家庭で育ち、そこから這い上がって
米国有数のホテル王にまでのし上がっていくアベル。

地理的にも環境的にも対極の世界に生まれた二人は
数奇な運命で巡りあい、敵同士となり、憎しみあう関係となるのですが
こともあろうに互いの息子と娘は恋に落ちてしまう・・って話です。

そして一方の大きな誤解が互いの憎しみのもとになっていたということ、
真実を知った時には相手はもうこの世にいない、という最後の場面には
本当になんともいえない切なさを感じました。

ストーリーはわかりやすく、テンポがよく、
つい、あと1ページ、あと1ページ・・と止まらず
気がついたら午前3時とかだったりして、慌ててベッドに入り込み
睡眠不足な一週間でした。

ただ二人がそれぞれの人生のサクセスストーリーを歩んでいく姿は
読んでいてこんなにも物事が上手く運ぶものかしらね、と思う時もありました。
いや、それとも古今東西、強運な人というのは、こうやって勢いに乗って
成功の階段を昇っていくのかもね、とも思ったり。

限りない富を約束され、周囲から祝福されて生まれ育ったカインと
無一文の移民としてアメリカにわたり、
よくもこれだけの不遇を乗り越えられたものだと思うアベルの
半生はあまりにも対照的です。

アベルの人生はまた歴史の中で大国に蹂躙され、翻弄され続けた
母国ポーランドの歴史とも重なります。
同時に出自に関係なく、自らの才覚と努力で成功を手にすることができる
アメリカという国の懐の広さも感じました。

著者のジェフリー・アーチャーは英国の元国会議員。
そうした経歴もあってか、政治家と企業家の裏での癒着話なんかは
やけに真実味があって興味深かったです。

著者本人も北海油田に投資して大失敗して
財産を全部失ったと思ったら、書いた小説が大当たりで
それで一気に借金を返済したとか、
政界復帰したものの、またまたスキャンダルで辞任したり、
自分の作品のストーリーと遜色ないくらい
波乱万丈な人生を送っているんですね。

これは私も記憶に残っているけれど何年か前には
偽証罪で服役もしていました。
で、投獄中にも刑務所生活をもとに本を書いたりとか。

この人の著作は読みやすいし、面白いです。
英語の勉強にもなるので、また読もうと思って
今日はアマゾンで二冊追加注文してしまいました。^^
また睡眠不足の日々が待ってるようです。