お疲れがでませんように | 花はどこへいった

田舎の朝は、びっくりするほどひんやりしていた。

 

『お寺さんには、8時半になってからってお母さん言ったでしょ。』

 

そう言って 私はぼうっとした頭を起こそうとする。

そんなこと言ってないとかで母と喧嘩をするが疲れが取れずに喧嘩にならない。

 

 

確かに2時間前には お寺さんへは 8時半に行くことにしようと打ち合わせしたじゃない。

 

そんなことを言っても 混乱する母には通用しない。

田舎のしきたりに詳しい従弟に来てもらって、7時30分、お寺さんへ通夜と告別式のスケジュールの確認に行く。

1時間ほどで、住職さんが枕経に来てくれた。

百か日までのスケジュール調整。

お布施の確認。

お墓の話。

紙だなに封をする。お客さんのお茶とお菓子の準備をする。

 

最近の和尚さんはiPadでスケジュール管理をしているようで、11月までの予定がとんとんと決まる。

町内に親族葬の連絡を入れる。各町内に連絡が行きわたる。

 

今日は来ないで明日の通夜でと言ったのに、おば二人がやってくる。2時間ほど応接室で話に花を咲かせている。住職さんとおばの間で 天手古舞になる。

2時間寝た私と違い、一睡もしていない母に おば二人は容赦ない。

 

おばたちに帰ってほしくて母が、『ごめんなさいね、こんなだから、昼食の用意はしていないのよ』という。

それでも帰らないので この辺でと 睡眠時間2時間の私が 慣れない母の車を運転して おば二人を強制的に自宅へ送る。

 

車の中でも しゃべりっぱなしだ。ぼうっとする。でも一言私が相槌を打つと 楽しそうに話を続ける二人に癒されている私もいる。

居眠り運転をしない私、えらいぞ。

 

12時、自宅に戻ってきて少しは眠ろうとしたら、近所の人たちのお参りの嵐。町内会の連絡網の力なり。

 

次々と冷たいお茶をふるまう。

30分毎に人が来るので 結局夕方まで 混乱が続く。

決まって『お疲れが出ませんように』と言って帰る。

 

家族葬と言っているのに、『行ってはだめか』と じいちゃんたち、食い下がる。

やんわりとそれでも頑なに 事情を話す。

出棺時に付き添うことで 納得してもらう。

 

 

私は久しぶりに自宅に帰るとする。

 

あすは朝から納棺。おくりびとと一緒に。