「お久しぶりです」
私は杉原さんの車の助手席に乗った。
「さぁ、元気にしていたか?」
「まあまあです」
うつむきながら答えた。
「そうか。何が食べたい?さぁの好きなものにしよう」
「食事してないの?」
「俺?お通夜終わって急いで戻って着替えてすぐ来たから食べてないよ」
「そう。お腹すいたね」
会話しながらも、私の言葉や言い方は素っ気なく、可愛げのない女そのもの。
そして杉原さんの顔も見ていなかった。
見れなかった。
「焼き肉にしようか。いい?」
「はい、久しぶりだな、ここに来るの」
私の家からすぐの焼き肉屋さんに行った。
席に通されても杉原さんの顔を見れなかった。
うつむいたままの私。
杉原さんが注文した特選カルビ等を食べながら静かに会話をした。
ようやく顔を上げて杉原さんの顔を見た。
「さぁ、お前は変わらないなぁ。18の頃からすごく綺麗だった」
「はぁ?私が今いくつだと?杉原さんの年マイナス15だよ」
「え?お前、そんなになるのか…見えないな」
「私は顔にシワとかないからね。でもお風呂入ったから今すっぴんだよ」
「俺は?どうだ?」
「う~ん。どうだろ?……まぁ、じじいでしょ」
「じじいだよなぁ」
「うん。孫もいるんでしょ?皆さんお元気?」
等とたわいもない会話だった。
久しぶりの焼き肉だったが余り箸が進まなかった。
緊張していたのかな?
お互いの近況や会社の話をしながらの食事。
「さぁ、行こうか」
と杉原さんが言った。
「私、近いから歩いて帰ります」
「ダメ。もう少し一緒にいよう」
杉原さんが先に席を立った。