違和感があったとはいえ、坂井さんは私の心の支えだった。


責任がある会社の中枢の仕事を与えられ、その責任の重さからどこかに、誰かに、甘えられる場所、癒される場所を求めていた私。


私の話をわかってくれる人、正論で話せる人、が欲しかった。


突然、坂井さんから「今からそちらに向う」とメールが来た。


私が大阪に行ってからまだ数日しか過ぎていない平日。


えっ?


「どうしたの?突然でビックリした」


「どうもしないよ。時間が空いたから。夜、段取りしといてな」


来てくれるのはいいが、次の日も仕事だし、一緒に食事して泊まる事しか出来ない。


本当にどうしたのか…


深く詮索しても仕方がない。早めに仕事を終わらせて駅まで迎えに行った。


「ごめんなさい。小さい方の車で来ました」当時、私は二台車を所有していた。時間がなくて通勤用の車で迎えに行った。
前に坂井さんが来た時は、もう一台の車で迎えに行き県内を少し案内がてらドライブした。


「かまへんよ。突然来て大丈夫か?」とセカンドバッグ一つだけ持った坂井さんは言った。


「はい。じゃあ、お寿司屋さんに案内しますね」


私の知り合いのお寿司屋さんに行き食事した。


「朝、7時の電車で帰るから。そのまま会社に出勤や」と坂井さんは言った。


口には出さないが、何で突然坂井さんが来たのか疑問だった。


夜に着いて朝早めに帰る。
やっぱりおかしい。

JRで3時間以上かかるのに。


私に会いにわざわざ来てくれたと思えばいい…と自分に言い聞かせた。


翌朝、坂井さんを駅まで送り自宅に戻った。


それが坂井さんと会った最後になった。