次の日、仕事が終ってから病院に行った。
一応、駐車場からメールで確認。
万が一、奥さんが来ていらっしゃったら…と思っての配慮。
携帯電話でインターネット出来るようにパソコンを設定。
頼まれた果物を渡し、持って来た花を飾った。
「さすがにさぁは気がきくよ。俺の好みをわかってるし。うちの女房なんてまだ一度も来ないよ」
「えっ?本当に?」
「うん。入院の準備も俺が一人でしたよ」
「そうなんだ…でも、こんな旦那じゃ仕方がないかもね。私が言うのも変だけど」
「なぁ、俺、退屈で仕方がないよ。テレビも面白くないし。何か本でも読もうかな。明日、買ってきてよ」
「明日?」
「うん。ゴルフ雑誌と…何がいいかな…」
「絶対読まないと思いますが…それに明日も来るなんて言ってませんから」
「来ないのか?どうして?」
「…」
杉原さんはいきなり私の手を引っ張った。
「あっ!」
キスされた。
逃げようとしたが離してくれなかった。
「さぁ…心細いんだ…」
いつも、誰に対しても強気な杉原さんなのに、病気かどうか不安だったのであろう。
ずるい。
自分が困った時、弱った時は私?
私の心は揺れた。