杉原さんの病室に行った。
個室でビジネスホテルみたいな部屋。
元気そうに
「さぁ、やっと逢えた。元気にしてたか?」と言う。
「あわてて来たのに、ずいぶん元気そうだけど…どうして入院してるの?」
「まぁ、検査みたいなものかな。会社の健康診断で引っ掛かってね。退屈で仕方がないよ」
「そう…それで頼みたい事って何?」
「あぁ、パソコン持って来ているんだけど携帯電話をつないでインターネット出来るようにしてくれないか?出来るだろう?」
「出来るけど…専用のコードみたいなのが必要だし、通話代金が高いしおすすめ出来ないよ。この病院って携帯電話とか許可されているの?」
「さっき、先生が来た時に聞いてみたらOKとは言わなかったけど大丈夫みたいだったよ。俺も入院中でも仕事しないとならないし。メールのチェックもしたいから」
「とりあえずドコモで買って来ます。他には用事はありませんか?」
「あったら連絡するよ。いつも悪いな」
「本当に…都合が悪くなったら私を思い出すみたいね」
「病人をいじめるなよ」
「誰が病人ですか?ところでいつまで?」
「わからないな。俺、縛られるのイヤなんだよ。あっ明日、果物買ってきてくれないか?」
「明日?明日も来るなんて言ってませんが…」
「ドコモに行って来てくれるんだろう?」
「でも、明日来るとは言ってませんから」
「さぁは絶対来てくれるって信じてる」
「それじゃあ、帰りますね」
「ありがとう。頼れるのはさぁしかいないから宜しくね」
何て言ったらいいのか…
私の辛かった日々は何だったの?
わかっていて平気な顔して何度も私に嘘ついて、裏切って…
無視した方が良かったのだろうか…
私の杉原さんへの想いは完全になくなってはいない。
また揺さぶられている。
坂井さんは?
坂井さんに対しては、この人じゃなきゃ…ってほどの感情はない。
ただ、癒されるし学ぶところが多い人。
病院を出て自宅に向いながら考えていた。