それぞれ自分の車ですぐ近くにある地元のゴルフ場に向った。
「悪いことしたかな?何だか断われなくて」山下さんが私に謝った。
「気にしないで下さい。私はマイペースでやりますから」と私は山下さんを気づかい返事した。
穏やかな山下さんや池田さんとは違いハイテンションな杉原さん。
私は淡々とゴルフを続けていた。
「やっぱりさぁのように放っておいても自分でプレーできる子じゃないとな。
初心者じゃ教えたり世話が大変で自分のペースが乱れるよ」杉原さんが山下さんに言っていた。
その初心者は美和子を指すのだろう。
美和子は私の目から見てもそんなに上手くはなれないだろうなぁって感じだった。
「え~、いや~ん、どうして~、あ~ん」ばかりなのだ。
上手くなりそうな要素が全くみえなかった。
競技志向の人達には合わない。
ラウンド途中、杉原さんが私に近づいて来て「終わったら電話するから食事に行こう」と言った。
私は無視して杉原さんからわざと離れた。
久しぶりのラウンドの割りに私のレベルではまあまあのスコアだった。
18番ホールからクラブハウスに向かう途中、杉原さんの携帯電話に着信があった。
携帯電話を見て、あわてて少し離れて会話している。
「今?ゴルフ終わった所。あはは!いいよ。すぐ電話する」離れていても声が大きいから聞こえて来る。
私は杉原さんをじっと見た。
私の視線に気付き、杉原さんは「何だよ!」と急に強気になった。
美和子からの電話だったんだとわかった。
いそいそと帰り支度をし、早々に逃げるように杉原さんは帰って行った。
もちろん、ラウンド途中に後で電話するからと言っていた杉原さんから電話はなかった。
ゴルフ場から自宅への帰り道、私はいつも行く本屋に寄った。
本屋の広い駐車場の端に美和子の車が停まっていた。
やっぱり…
私と杉原さんも何度もこの本屋の駐車場で待ち合わせた事があった。
またか…
また私に誘いの言葉を言っておきながら、美和子の誘いに私を無視して行った。