それでも杉原さんの事を考えない日はなかった。
「さぁ、おまえなら出来る。頑張れ」
仕事が忙しくてめげそうな時の杉原さんの言葉。
今でも思い出す。
見たくないものは見ないようにしよう、とストーカーみたいな行動をするのを止めた。
周りから入って来る余計な話も聞かないようにした。
杉原さんからまた電話があった。
ちょうどメールを入力中に着信し、出てしまう形になった。
久しぶりに聞く杉原さんの声。
「さぁ、やっと電話に出てくれたな」
「出るつもりはなかったけど携帯電話さわっていたから仕方がなかったの。あの時、もう二度と私に電話をしないでって言ったでしょう?」
「俺、どうにかしてたんだ。謝りたいと思ってた」
「今さら…」
「さぁが怒るのも無理ないけど…俺、おまえが好きなのは変わらない」
「また嘘?もう嘘はいいって」
「嘘じやない。今まで付き合った女の中で誰が一番好きかと聞かれたら、迷わずさぁって答えるよ」
「…」
「さぁ…もう一度逢えないか?」
「逢いたくありません。あなたは私が好きだった頃のあなたではなくなっていますから」
「たのむよ。さぁ、また一緒に食事したりゴルフしたり旅行に行ったりしないか?」
「出来ません。私は前を向いて行きたいんです」
「とにかく、もう一度考え直してくれ。また電話するから出てくれよ」
また、美和子と喧嘩したのだろうか…
次の日の朝、杉原さんからメールが来た。
「昨日は電話に出てくれてありがとう。また連絡します。よろしく」