私の誕生日の夜、眠れなかった。
次の日は土曜日。
わざと杉原さんに電話した。
「はい」不機嫌そうな声で電話に出た。
「昨日、どうしたの?何度も連絡したのに…約束してたし…」と、言い終わらないうちに
「約束なんかしてない!それより、おまえ、ゆうべ美和子の旦那に電話したんだって?」
「したけど?それがどうしたの?」
「どうしたの?じゃない!何でそんな事するんだ!」
「私と約束していたのに連絡が取れないからまた美和子と一緒かと思って聞いてみただけ」
「余計な事をするな!おまえは俺をつぶす気か!」
「それ、どういう意味?」
「おまえが旦那に電話なんかするから俺が不利になるだろうが」
「不利?」
「そうだろうが!旦那が知らない事をわざわざ報告して、おまえは何を考えてるんだっ!」
「あのさ、いい事を教えてあげる。美和子はね、今日誰と会って、どこへ行って何をしたか、どんなエッチをしたかの果てまで全部旦那さんにしゃべってるよ。だから私が言おうと関係ないの。旦那さんは杉原さんの会社から自宅まで知っているよ。そんなふうに私を責める事が正しいのか、それでも私が悪いのか、少しはその悪い頭で考えてみたらどう?」
初めて杉原さんにたてついた私。
初めて杉原さんにひどい言葉づかいをした。
少し黙った杉原さん。
私は更に言った。
「私の誕生日に自分から約束しておいて、私の誕生日に杉原さんと私を逢わせたくない根性悪の美和子の策略に引っ掛かりホイホイと行ってしまったって認めたら?」
「そんな事はナイ!」
「もう、どうでもいいわ!嘘ばっかりついて!」
「嘘も方便っていうだろうが」
「何を言ってるの?嘘をつけばつくほど、自分を下げているのよ。あなたは男として最低なのよ!」
「おまえ、俺に対してそこまで言うのか!」
「言うよ!あなたは何も見えなくなっているの!それで勝手に私を悪者にしているの!私にはもうあなたのような人なんて必要ない。もう二度と電話をして来ないで!」
言ってしまった…