私は21歳になっていた。

仕事とゴルフと女友達だけの世界で男の人とは付き合っていなかった。

杉原さんとよく一緒に飲みに行っていたスナックにはマスターとママと仲良くなっていたので時々真由美等の女友達と行っていた。

マスターもゴルフを始めたので話が弾んだ。

ある日マスターが「俺の後輩で東京から帰ってきた奴がいて、うち店でさぁの事を見て紹介してほしいって言うんだ。どうかな?顔もいいし、まあ、良い奴だよ」と言った。

「私…今はまだ…」と言葉を濁した。

マスターは「まあちょっとあったし、無理強いはしないけど、めちゃくちゃゴルフうまいし、難しく考えないで、奴は大学からずっと東京だったからこっちに友達少なくて、仲間に入れてやってよ」 と言った。

「そうだね、ゴルフ教えてもらおうかな」と適当に返事をした。

その話も忘れていたある夜、自宅にママから電話があった。「例のマスターの後輩が来てるんだけど今から来れない?」

気乗りはしなかったが、お店は歩いても10分かからないし「すこしだけなら」と行く事にした。

お店のドアを開けると超満員でスゴい熱気だった。
カウンターに椅子を1つ足してくれてその人の隣に座った。

マスターが言っていた通り二枚目と言えばいいのか男前と言えばいいのか、今風で言えばイケメンだった。10年東京に住んでいた為か標準語で話し、垢抜けた感じ。

名刺を出して簡単な自己紹介をした。
「中田です。よろしく。ゴルフなら任せて下さい。僕で良ければレッスンしますよ」と勝手にしゃべり始めた。

7歳年上だった。
身に付けている物はブランド品ばかり。ピシッとしたゴルフウェアを着ていた。
中田の東京での話や今の仕事の話などを聞いて「機会があったらゴルフを教えて下さい」と言い、先にかえった。

当時はまだゴルフはおじさんの遊びとかお金持ちの遊びとか贅沢とか言われていたので20代でゴルフをしていると言うと「若いのに」とか「お金持ちの娘?」とか言われた。
数少ない20代ゴルファー仲間になった。