私が杉原さんの車を運転した。
「この車を他の人に運転させたのは初めてだよ。俺、かなり酔ったしどこかで休んで行こうよ」と道順を指示して来た。
「え?私、帰りたいな」とわざと反発。
キキー!!
私は急ブレーキを踏んだ。杉原さんは助手席からハンドルを左にきった。
信号ない交差点。
こちらが優先道路なのに右から車が突っ込んで来た。
衝突はしなかったが私は動揺した。
「運転代わるよ。ビックリしただろ?」と言ってくれたが、かなり酔っている人に運転させる事は出来ないから「大丈夫。出来るから」と車を走らせた。
十数年後に同じ道を通り二人ともその出来事を憶えていた。
まさか私が車を運転してラブホに行くなんて思いもしなかった。
でも、肝心な話を何もしていない。
今日は触れられたくないけど話はしたい。
ラブホに着いた。
「お風呂沸かして来て」
いつもは杉原さんがしてくれるのに…
「お風呂の準備出来ました」と言うと「一緒に入ろう」と私の手を引っ張った。
いつも通り私を後ろから抱きしめる格好でくっついてお湯につかっていた。
身体も洗ってくれる。
ベッドに移って横になり私を見ながら言った。
「この前の夜の事、気にしているのか?」
「だって…」と涙声になった。
「俺は湿っぽいのはキライだ。今日のおまえは可愛くないよ」と言いキスをして来た。
私を抱いた後、「俺は自分のしたい事をする。誰にも文句は言わせない。でもな、俺はおまえが好きだ。おまえはどうなんだ?」と言った。
返事が出来なかった。
勝手なことを言ってるって思った。
黙っていたらもう一度聞かれた。
「おまえは俺のこと好きか?」
「大好き…」私は言った。
「それならそれでいいじゃないか?時々こうやって会って楽しんで、ゴルフにいってもいいし、温泉に行ってもいいし」
わからなかった。私には杉原さんが理解出来なかった。