2016年12月25日

 

この日の夕方、夫は知らない間にポータブルトイレに移り、座ったままうなだれていた。

 

「大丈夫?」と声をかけると「うん。」と返事はあったもののずっとうなだれたまま。

 

しばらく見守っていたけれど、「ここにはずっと座ってられないよ。ベッドに移るよ。」とベッドに手をかけさせて立ち上がらせようとした。

 

ところが、お尻は上がったもののそこからそのままベッドに上半身のみ乗っかり、前のめりに突っ伏してしまった。

 

「あ〜。」と本人も力が入らなかったのがわかったようだったが、それ以上はもう身体を動かせなくなっていた。

 

私は必死に「お父さん!ベッドに上がるよ!」と声をかけ、ベッドの上から夫をなんとか引き上げた。

 

痩せてしまっていたから出来たけど、夫の元の体重だったら絶対一人で引き上げられなかったと思った。

 

もう、自力でトイレはムリだ、そうすぐ判断して、少し前から用意していたオムツを持ってきて「お父さん、ごめんね。オムツにするよ。」と言いながらオムツをつけた。

 

夫はもう話す元気もなく、されるがままの状態だった。

 

これまで、夫の闘病を見守りながら動揺しそうな時もどこか冷静に、先を読んで準備したり、対応している自分を俯瞰で見て、冷酷に思えることが多々あった。

 

そういう時は自分が可愛くないと思った。

 

この時も夫が喋れる状態だったら「えらい用意がいいな。」と皮肉っぽく返していただろうと思う。

 

 

 

立てなくなった状態をとりあえず訪問看護師さんに伝えて、先生に明日診てもらった方がいいか聞いてみようと思って夜相談の電話を入れた。

 

やはり、先生には明日診てもらった方がいいと思うので明日朝先生に直接連絡するようにと指示を受けた。

 

後日看護師さんに、大体戻れなくなるパターンが多いです。

そういう時は体力温存の為にそのまま床で寝かせておいて、看護師を呼んでもらって良いですよ、とのことだった。

 

出来ることは頑張ってやってしまう…私の性分。

 

誰かの助けを借りることは必要なこと。

 

看護師さんの存在はいつだって有り難かった。