先月の熊本地震では、震度7や震度6強など大きな揺れが相次ぎ、最近になっても地震活動が続いています。

 

熊本県は大規模地震が発生する確率が低いと言われており、これまでも大きな地震は少なかった地域でした。そういったことも影響していたのか、関東など地震が多く発生して大きな地震が来ると言われている地域に比べると、地震に対する備えがあまりなかったようです。

 

2005年の阪神淡路大震災、2000年の鳥取県西部地震、2011年の東日本大震災などでも、大地震が発生する確率が低いと言われていた地域で大きな地震が発生しました。やはり、地震の予知というのはまだまだ難しく、日本国内は大地震に対する備えを十分にしておいた方がいいのではと考えさせられました。

 

熊本地震では震度6を超える地震が複数回発生したことで、建物が倒壊したり、倒壊の危険性がある建物が多く出たりしています。倒壊した建物の中には、耐震基準が厳しくなった1981年以前の物が多かったようです。一方で、熊本県は建物の地震設計力を低減することができる地域でもあり、そのことが影響した可能性もあります。

 

過去に地震が少ない地域については、地震の時に建物が受ける力を低減してよいことになっています。設計地震力の計算には地域別地震係数というものが使われており、下の表のように地震が発生しやすい地域は1.0で、相対的に地震が発生しにくいと思われる地域は0.70.9となっています。

 

地域別地震係数
地域別地震係数
資料出所:国土交通省

 

熊本県は0.90.8になっており、関東などに比べると地震設計力が1020%低減してもよいことになっています。

 

下の図は熊本県の自治体別の地震係数です。


熊本県地域別地震係数
注)地震係数は、
0.90.8

資料出所:国土交通省

 

被害が大きかった益城町や南阿蘇村は地域別係数が0.9で、熊本市や市役所が倒壊の恐れがあり使用できなくなった宇土市は0.8です。

 

実際に地域別地震係数通りに設計地震力を低減して建物が建築されていたかどうかは分かりません。しかし、耐震性を強化すると建築コストも上がりますので、基準の範囲内であれば耐震性を落としてコストを下げて建築することは十分考えられます。

 

この地域別地震係数ですが、1980年に改定されて以降は改定されていません。相対的に地震が少ない地域とされる地域では、2000年の鳥取県西部地震、2003年の十勝沖地震、2004年の新潟県中越地震、2007年の新潟県中越沖地震など、2000年以降でも大きな地震が何度も起こっています。

 

この地域別地震係数は建物の耐震性に関わることですので、地震への備えを十分なものにするために見直しをしてもいいような気がします。


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