日本では有給休暇があっても中々有給休暇をとらないことから、有給休暇取得を義務化することが検討されています。

 

下の表を見て分かるように、日本は有給休暇の消化日数が少なく消化率は50%と低くなっています。

 

有給休暇消化の比較

有給休暇消化の比較

資料出所:ダイヤモンドオンライン

 

外国では、有給休暇を取得をするのは当然の権利だという意識が強い国が多く、ブラジル・フランス・スペインなどでは有給休暇の消化率が100%になっています。

 

日本では、有給休暇を取ると周りに迷惑がかかるため、有給休暇を取るときに罪悪感を感じるという人の割合が高いようです。上の表でも、日本より有給休暇の付与日数が少ないのに消化日数は多くなっている国も幾つかあります。

 

また、国際会計基準では未消化の有給休暇を企業の負債とみなし、費用を追加計上することになっています。このため、費用を圧縮するように企業が有給休暇の消化を促しています。

 

 

一方で、外国企業からは「日本は休みが多い」という指摘をされることがよくあるようです。有給休暇の付与日数がそれほど多いというわけでもなく、有給休暇の消化日数も少ないのに、どうしてこのような指摘を受けるのでしょうか。

 

実は、日本は祝祭日が諸外国と比べて多いのです。下の表は、祝祭日と有給休暇消化日数を比較したものです。

 

祝祭日と有給休暇消化日数
休暇日数の比較

資料出所:ダイヤモンドオンライン

注)祝祭日は土日を除いた2015年のデータ。

 

表の国の中では日本が最も祝祭日の日数が多くなっており、有給休暇消化日数と合わせると香港と同じ27日になりイタリアともほとんど変わりがありません。実は、日本は世界の中でも祝祭日が多い方なのです。

 

更に、有給休暇とは別に夏季休暇や年末年始の休暇がある企業も少なくありません。夏季休暇は3日程度、年末年始は1230日~13日まで休みとなる企業があります。そうすると、土日以外の日本の休日は30日を超え、夏季休暇が有給休暇でない企業であれば35日くらいとなります。

 

欧米にもクリスマス休暇や年末年始の休みがありますが、クリスマスは1225日だけ、年末年始は11日だけが元々の休みで、それに有給休暇を付け足して休みを取るようにしています。

 

こうして見てみると、外国企業が「日本は休日が多い」と指摘するのも納得しますよね。日本の有給休暇消化率が100%になれば、上記の表の中では休日が最も多くなることが予想されます。

 

休日に関する全体像を見ないで、単純に有給休暇の消化率だけを見てしまうと誤った判断をしてしまうような気がします。

 

一方で、日本の企業ではサービス残業があり、それもあって働く時間が長くなっていることも確かだと思います。有給休暇の消化を促すことよりも、こちらの対策の方が重要なのではないでしょうか。


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