オウム真理教が地下鉄でサリンを撒くテロ事件を起こしてから20年が経ちました。若い人はリアルタイムであの事件を見ていなかった人が増えているため、オウムと言われてもピンとこない人が多いようです。
地下鉄サリン事件では、死者13人と6千人を超える重軽傷者という多数の被害者が出ました。被害者の中には現在も後遺症に悩まされている人が多くいます。
オウム真理教は地下鉄サリン事件以外にも、松本サリン事件(死者8人、重軽傷者660人)、坂本弁護士一家殺人事件(4人殺害)など多くの殺害事件を起こし、自動小銃や化学兵器、麻薬類の量産も行っていました。
教団は裁判所から解散命令が出され、平成8年に解散が確定しました。教団に対しては、破壊活動防止法(以下、破防法)の適用を求める処分請求が公安調査庁から行われましたが、それに反対する団体などがあり、破防法は適用されませんでした。
破防法とは、暴力主義的破壊活動を行った団体と団体に属していた個人に対して規制する法律で、解散の指定がされると、その団体の役職員であった者はその団体のための行動を一切禁止されることになります。
結果的にオウム真理教は破防法が適用されなかったため、解散後も信者がアレフとひかりの輪という団体に分かれて宗教活動を行っています。
オウム真理教は一連の事件で約38億円の賠償支払い義務を負いましたが、オウム真理教約16.5憶円、アレフとひかりの輪で約2.5億円を支払いましたが、いまだに約19億円が未払いのままになっています。
アレフとひかりの輪の資産は近年増加しており、平成26年の現預金などの資産残高は6億9千万円になっています。資産が増えているにもかかわらず、賠償額は年々減少しています。
オウム真理教が起こした事件を知らない人が増えていることと、オウム真理教と関係があったことを隠して信者を勧誘しており、特にアレフの信者数は増えて勢力を拡大させています。アレフでは、オウム真理教の教祖であった麻原彰晃(本名松本智津夫)に帰依し、教団の利益に合致すれば殺人さえも許すという教義が今も残っており非常に危険な団体となっています。
オウム真理教に破防法を適用していれば、構成員も名義を変えたとしても現在のような活動をすることはできませんでした。
破防法適用には、社会党(現社民党、一部は現民主党)や共産党が反対し、憲法学者、日弁連、市民運動家、一部マスコミも反対しました。
そして、当時は自社さ連立政権で社会党の村山富市氏が首相でした。彼は、その後に「基本的人権にかかわることだから、適用されないのはよいこと。当時の決定についてはやむをえない。」と語っています。共産党の柳沢氏は「当然の結果。破防法の適用は百害あって一利なし。破防法廃止と公安調査庁の解体を求めていく。」と言っていました。
現在のアレフなどの状況を見れば、オウム真理教に破防法を適用しなかったのは大きな誤りだったというのが明らかです。
昨日は、地下鉄サリン事件が発生してからちょうど20年ということで、多くのメディアが地下鉄サリン事件やオウム真理教に関する報道をしていましたが、破防法適用をしなかったことについてはほとんど伝えていませんでした。何かの意図があったのでしょうか。
そして、破防法適用に反対していた人達は、現在のアレフなどの活動をどのように見ているのか聞いてみたい気がします。
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