整形外科の真夏の恐怖。
それは、ギプスカット。
若い男性であればあるほど、恐怖は募る。
特に足関節、膝関節のギプスカットは恐ろしい。
ギプスの下に巻いた綿包帯の色が、その凄さを予測させる。
処置室に入ってくる時点でもう、その前兆はあるのだが。
ギプスがカットされ、どんどん開いていくに連れ、私達の顔は緊張に包まれる。
何事もないかのような顔をしないといけないのだ。
決して、顔をゆがませる事のないように、顔に全意識を集中させる。
どんなに気をつけても、『無意識』ということもあるのだから。
さあ、久しぶりに外の空気に触れる足が現われる。
それと共に、なんとも言えない異様な臭いも、部屋全体に広がるのだ。
何事もないかのように、にこやかに、足を拭く。
私は、白衣の天使なのだから…。
