青山 七恵
ひとり日和

風邪薬でぼーっとしびれる頭のまま

ソファーに座って本を読む


このまえ芥川賞を取ったこの本は

そういうときにぴったりの本だった


物語の高揚もないのに

最初の行から最後まで一気に読ませ


選者の村上龍が言ってるように

主人公にあっという間に感情移入してしまうのは


その会話のリアリティーさにあるのだろうか



男の子と付き合って

その度に、三度ほどデートしたのち

セックスをして

結局、気まずくなって別れていく


その対極に

住み込んだ家の家主のおばあさん

吟子さんと

ホースケさんの関係は

何の進展も変化もないまま

しかし、終わらずに続いている



人は

ひとりでは生きていけないんだろうか

ひとりでしか生きていけないんだろうか


ひとりでいれば二人を求めるのに

二人になれば、ひとりを求める



ひとり日和は

ほんの人生の陽だまりに

しばらく留まっていたい

でも、できない

そういう女性のかなしさ、けだるさ、がんばり

がよく描かれたいい小説だった