皆さま、おつかれさまです。







































たまに僕の自宅まで訪問に来られるユニークな方々のお話。







































確か、毎回『恵方の巻き職人』みたいな感じで名乗られて、目ぇひん剥いて熱心に配布しておられるフリーペーパーのタイトルが、なんと『モロミの糖』とかナントカ。



例えばソレは、羽根付で褐色のハットを頭にのせた、目ぇキラキラしたニコニコお爺さんと、申し訳なさそうにお爺さんの斜め後ろにコッソリ佇むお婆さんのコンビだったりする。



毎回違った顔ぶれが入れ替わり立ち替わり。



どういう取り決めかは存じませんが、何故か例外無く " 二人組 " でやって来て、「恵方の巻き職人」を名乗られます。






































そんな巻き職人の皆さん方の決まり文句は・・・







































「セェショをご存知ですか?」


・・・です。






































毎回この問いを口火に、小一時間ほどの興味深いトークが繰り広げられます。






































「清書?ですか?」



職人
「ハイ、こちらなんですが・・・」
スッ(ぶ厚めの辞書風書籍取り出し~)



僕(おっ、何か知らんけど面白そう)
「あぁ・・・いやっ、聞いたことだけあるような~・・・具体的にどんなモノかは知りませんけど」



職人
「では、この機会に是非ともセーショの存在を知っておいてください!」



「なるほど(?)、わかりました。一体どんな内容でしょうか?」



職人
「このセカイ(世界の事?)の全てが、ここに記されております。
それは例えば、このセカイ(以後、世界)の成り立ちから、今後起こるであろう色々の出来事まで、全てがこのセーショに纏(まと)められております。
このセーショを心から信じ、セーショに記された内容に従って生きれば、間違いなく幸福に満ちた生涯が過ごせます!」
(言い切る感じ)



「スゴいじゃないですか、ソレ。
じゃあ例えば、今後世界はどの様に変化していくのか?とかも前もって明確にワカったりしますか?」



職人
「今後、世界は間違いなく " 春巻き丼 " に向かっていきます。
これは人類にとって、避けることが出来ない事実なんです」



僕(どういう事かいな?)
「どういう事ですか?」



職人
「アリとアラゆる災いが、世界をオオイ尽くすのです」



僕(?)
「具体的にどんな事が起こりますか?」



職人
「貧困や病気や環境汚染など、様々な災いが次々と巻き起こるのです」



僕(具体的にって言ったのに・・・)
「へぇ、それって大変じゃないですか?
将来、イイ事ないじゃないですか」



職人 →真顔っ!
「この世の全ての災いや灰汁(アク)の元凶って、ご存知ですか?」



僕(アレ?何か若干、話題もトーンも変わった?)
「・・・いえ?・・・何でしょう?」



職人 ←どう見ても年齢は僕の2倍以上の男性
「それは・・・サタンです」






































「・・・?」






































「・・・サタン?・・・ですか?」



職人
「そうです、サタンこそ、あらゆる灰汁(アク)の根元なんです。
そして、サタンは常に人々のすぐ隣に居ます」



僕(じゃあ現状、僕にとってアナタかな?)
「うわっ!?怖い情報ですね~。
因みにですけど、そのサタンって、具体的にどんなモノなんでしょう?
色とか形とかありますか?人ですか?
 " 隣に居る " って言われると、しっかり知っておきたい様な気になってしまいます」



職人
「・・・サタンは、目には見えません。
それは、私たちの心の中に居るからです」



僕(えっ?)
「・・・物質的には隣に居なくて、心の中に居るって事ですか?
では、心の中からどの様に作用して、災いとなって具現化していくのでしょう?」



職人 →書籍をババババっとめくりだす。
「・・・え~っと、え~っと・・・チョッと待って下さいね・・・確か・・・」



僕(ワカらないんかい!)
「あっ、ソレ(書籍)にそんな細かい内容まで記載されてるんですか?」



職人 →書籍ババババっ
「ハイ、全てが・・・あっ!ありました!ココっ!ココ読んでください!」
(書籍を開いて見せてきて、読んで欲しいであろう箇所を指差し)



僕(えっ?読んだけど、ワケわからん!)
「・・・あの~、じゃあ、さっきのお話なんですけど、アナタが仰る様なとんでもない未来が待ってるんなら、そのセーショが在っても無くてもですよ?みんなお先真っ暗ではないんですか?」



職人
「アナタは、カミの存在を信じますか?」



僕(うわっ!?唐突やな・・・こっちも何かカマしてみよう)
「そもそも何を信じるかの判断は僕がやっておりますので、僕は僕を信じております」



職人
「え?」



「つまり、 " 信じているモノ " プラス " 教 " という感じであれば、僕なんかは『自分教』の信者ですね」



職人
「はぁ・・・」



「アナタが仰る " カミ " とは、具体的にどんなモノでしょうか?」



職人
「カミとは、この世界をソーゾーなさった方で、我々人間もカミによってつくられました。
そしてカミのみが、サタンを退ける事が出来る唯一の存在なのです。
カミを信じ、カミと歩めば、 " 春巻き丼 " を生き抜く事が出来るでしょう」



僕(さっきから具体性がないな・・・)
「僕もアナタもカミがつくったんですか?」



職人
「その通りです」



僕(少し方向を変えよう)
「そのカミって、人間ですか?それとも何か別のモノですか?
アナタがそれだけグイグイ推してるカミというモノに興味を持ってきましたので色々知りたいです。
因みに、カミというモノを実際に見た事はありますか?どんな形で、どんな色でしょう?」



職人
「いえいえ、私なんかがカミと会うなど、畏れオオい事です。
ですから、私はカミと会った事は勿論、見た事すらありません」



「それって信憑性の面で大丈夫なんですか?会った事も見た事も無いのに、どうやってその存在を信じれるんですか?
今、仰っておられましたが、実際に存在しているのかどうかすらご自身で確認出来てないワケでしょう?」



職人
「カミは、確実に居ます」



「では、そのカミは現在は何処に居ますか?」



職人 →書籍ババババっ
「今、証拠を見せます」



「・・・」



職人 →書籍を開いて文章を指差す
「ホラ!ココ読んでください!ココです!
セーショのココにこう書いてあります!
カミによって書かれたこのセーショにキチンとカミが存在しているという裏付けが記されております。
セーショに偽りはありません。
セーショは絶対なんです!
ですからコレが、カミが実在しているという証拠なんです!」



僕(ヤバい、かなり面白い人だな)
「・・・イイですか?僕はそんな会った事も見た事もないモノの存在なんて信じ難いです。
つまり、アナタの仰る " カミ " なんかより、僕はアナタを信じます。
何故なら、アナタとは今こうやって実際にお会い出来ていて、『お話しをしている』という実感があります。
僕は、自分が実感した事柄を信じて過ごしておりますので、そのセーショというモノが

『存在するのかどうなのか不確かなヤツを全力で信じろ』

・・・みたいな方針でしたら、今の僕には理解し難いです」



職人
「そうですか・・・」



僕(そうですよ・・・)
「それに、もし僕がそのセーショに興味を持って、本当に必要になったとしたら、自分で勝手に調べて、自分で勝手に手に取りますので、もうワザワザ来られなくても大丈夫ですよ」
(ニッコリ)



職人
「・・・わかりました。色々とお話しを聞いていただき、ありがとうございました」



※途中の細々した内容は、イチイチ面倒だったのでバッサリバッサリとカットしております。






































・・・不思議なものですが、9割以上の職人たちは去り際、僕に向かって「ありがとうございました」と言って、頭(こうべ)を垂れていかれます。





毎回ワンパターンですが、コチラはただ、職人から発せられた表現の中で、『ワカらない』、若しくは『不可解な点』をひたすら理解しよう、理解しようと好奇心ムキ出しでストイックに質問に次ぐ質問からの質問を続けているだけ。





未だかつて、僕の投げ掛けた質問に対して、職人から具体的で明瞭な答えをいただけた事はありません。
(そこがカオスで興味深い、絶妙なバランス)





ある職人は、だんだんとセーショそっちのけになり、ご自身の身の上話にフェードインしたりしてきます。
(こっちの方が具体性が有り、面白い)





そして大体の職人たちは、後半の手前辺りからは僕に主導権を握られて、自身の観察結果をドップリと聴かされます。
(「僕がこういうフレーズを言った時、アナタにこういう変化や仕草がみえたので、もしかしてこういう事が気掛かりだったりしませんか?」など)





挙げ句の果てに、「ありがとう」と。





職人の活動外で、後日改めて個人的に単独で僕に会いに来られた職人も発生しました。





ホントに、ユニークな職人を抱えておられます。






































『恵方の巻き職人』






































今後、また我が家に訪れるのか?






































『モロミの糖』持って?






































また、小一時間の拘束を受けにやって来るのか?






































・・・何なんだ?






































一体、ナニがしたいんや?







































・・・?







































そんなワケで・・・









































我が家は " 職人蟻地獄 " 。