トイプードルmixさんが、耳の中にできた腫瘤を主訴に勤務先の動物病院を受診されました。

この犬さんは慢性の外耳炎がなかなか治らず、耳鏡検査でポリープ様のしこりが見つかりました。

↓が画像です。青いラインで囲んである中心の赤いしこりです。


犬の外耳炎の原因には様々な基礎疾患があります。その中でこのような耳道内の腫瘤も代表的な基礎疾患です。
耳道内に腫瘤があると、耳の通気性が悪くなり細菌や真菌が異常に繁殖し、その結果外耳炎が発生します。また通気性や耳垢の排出機能が低下するため、難治性の外耳炎となります。

耳道内はデリケートな領域であり、多くの犬では、嫌がるために無麻酔で精密検査をすることは困難です。

この犬さんでは、麻酔下で腫瘤を観察しました。すると腫瘤は有茎状(キノコのようにできている)であったため、切除生検を行いました。

↓は生検の画像です。

このようにバイポーラという電気メスを用いて、生検しました。
腫瘤の根っこの部分を焼切ると、肉眼的には全ての腫瘤が摘出できました。

↓は腫瘤です

耳の中にこのしこりがあったと考えると、とても大きいですね。

麻酔に問題はなく日帰り治療でした。

後日 病理検査の結果が出ました。

病理診断は耳垢腺腫でした。

耳垢腺腫は犬や猫の耳にできる良性腫瘍です。
良性ですから転移をしたり、周囲組織に深く浸潤したりはしません。

この結果からまずは外耳炎の原因となっている腫瘍は治療できましたので、今後も外耳炎治療を行い、腫瘍が再発しないかを検診していくことになりました。

お大事にしてください。

動物がん診療サポート

https://www.animal-cancer-clinic-koto.com/