<今回のお言葉>
「老いぬればさらぬ別れのありといへば いよいよ見まくほしき君かな」
「世の中にさらぬ別れのなくもがな 千代もといのる人の子のため」
(訳)
「年老いてしまえば、避けられない別れ(死)があります。ますますあなたに会いたいです」
「この世界に避けられない別れなどなければいいのに。親にはずっと長生きして欲しいと祈るのが子供なのだから」
伊勢物語 84段より
先日は母の日でしたね。2012年のゴールデンウィークは有給休暇の取り方によっては9連休になりました。僕の母も帰ってくるのか、と訪ねてきましたが、とりあえず帰る予定はないと答えておきました。
ちょっと寂しそうだったんで、多少罪悪感・・・。
さて、親と離れて暮らしているあなた。年に何日、親と過ごしますか。そしてあなたの親は何歳ですか。日本人の平均寿命は男性が80歳、女性が86歳です。
親が平均寿命の歳で死ぬとして、あなたの親はあと何年生きますか。その年数に一年に親と過ごす日数をかけてみてください。父親が今、70歳だとして、盆暮れに5日づつ帰ると1年に10日。10✕10=100。つまり、親と過ごせる日数は、あと100日。3ヶ月強ですよね。
いやいや、うちの父は60だから、まだまだ、と言ったところで共に過ごせる時間は200日。7ヶ月弱です。
それ考えると、やっぱ出来るだけ帰った方がいいのかなあと思いはするものの、帰っても特別なことをするでなし、四六時中一緒にいるでなし。そう考えると年に一、二回帰ればいいやってなっちゃいますよね。
伊勢物語は源氏物語より更に古い、千年以上前の歌物語。主人公は「男」としか表記されていませんが、平安時代随一のイケメン歌人、在原業平(ありわらのなりひら)がモデルと言われています。
「とうきょうスカイツリー駅」と改名する前は「業平橋(なりひらばし)駅」という名前でしたけど、業平橋という地名は在原業平にちなんでいるとか。
お言葉で引用した歌は、主人公の母が息子に送った歌と、男が母に送ったその返歌です。男が忙しくて、なかなか実家に帰れずにいたところ母から手紙が届いて、中に歌が入っていた。男はそれを読み大泣きして返歌を送ったということです。
千年前も親子というのは変わりませんね。親にはいつまでも長生きして欲しいと願うのが子どもというものです。
父さん、母さん長生きしてね。千代もと祈る人の子のため。