ちーっと、いっぷく。


・・・・連続・私小説・三姉妹のFX・・・・・142


 

 

 

海外旅行の計画が立ち、僕よりも海の方が、FX取引への意気込みが強くなった。 海は海なりに充分に考えた上で取り組んでいるのであろうが、慎重な程にファンダメンタルズを分析したり、参考としていたブログを必ずチェックする様になっていた。 保有するポジションは多くは無かったが、売買の頻度は確実に増えていった。 海は、売買の手法を変えたようで、値段の動きについて行き、無理が生じない程度にロット数を膨らませて、細かく刻みながら、利益の確保をしているとの説明をしてくれた。



 

姉の結婚を目前として、僕の部屋にいる時間は少なくなったが、一緒にいる時は、傍に座っていて自分のノートパソコンを持ち出してきて画面を見ていた。 食事の用意をしたり、洗濯を手伝ってくれたりと世話女房的な行動はいつものことであるが、僕が何かの用事をしたり、本を読んでいたりする時には、小さな声を「 うーん。 」と出しながら、レートを確認し、発注をしている姿が見て取れた。



 

 

 

「 どうなの? 最近、えらくハマってるみたいだけど? 」

 


「 うん、上手く行ってるんだけど、段々と考えさせられるパターンが増えたの? 」

 


「 何で? お前らしくないじゃん。 」

 


「 やり方、変えたのは正解。 だって元金にしていた分は、倍近くになったよ。 二週間くらいかかったけど。 」

 


「 相変わらず、すごいな。 で、何でそんなに悩むんだ? 」

 


「 うん、基本的に方針は変えたくないわけなの。 だからアメリカドルと円だったら、基本は売の方針なんだけど、一時的に、買いのポジションをもったりもしてるの。 」

 


「 まあ、基本的には円高方向は俺も同じだな。 」

 


「 でしょう。 だから少しでも円高になると、反動もあるからその分も利益が狙えるって考えると、判断が複雑になるの。 」

 


「 えらく難しいことをしてるんだな。 」

 


「 でも、ヒントをくれたのは、君だよ。 」

 


「 『君』って俺? 」

 


「 うん、だって下がったら戻るし、戻ったら下がるって言うんだもん。 売ったポジションを買い戻すなら、その時に買いのポジションをもてば、幾分か狙えるでしょ。 それに指値を入れて、逆指値でフォローしてる感じなの。 」

 


「 理屈はわかるけど、疲れるだろ。 そんじゃ休めないし、いつも同じ様な波じゃないと思うよ。 」

 


「 うん、そうね。 倍額になったらもう、このやり方変えようと思うよ。 」

 


「 無理するな。 それよりさ、もう少し余裕のあるやり方の方がいいよ。 」

 

 

 

・・・終り。。。