ちーっと、いっぷく。


・・・・連続・私小説・三姉妹のFX・・・・・11-4


僕は、部屋に戻る道中に、海に質問をしてみた。


「 あのさ、さっきの新聞の記事ではないけど、これから為替ってどう動くと思う? 」


「 なに? 急に? 多分、一旦は円安になるかもしれないけど、長期的には円高かな。 」


「 根拠っていうか? 何か理由があってのことなの? 」


「 うん、そう、あっ、でも円高って言うよりは、ドル安に向かうから、結果、円高ってことだよ。 」


「 日本の財政が悪いのは、もちろんだけど、アメリカだって同じで、結局、万全じゃないんだよ。 」


「 うん、何か抽象的で分かんないな。 」


「 そっか。 簡単な事なんだけど、アメリカは失業率は高いし、サブプライムローンの問題は、市民生活を疲弊させてしまったのね。それでも経済がそれなりなのは、実経済よりも金融経済が発展しているからなの。 」


「 そうか。 簡単にいうと、大きなマンションに住んでる住人の生活は厳しいけど、マンションを運営・管理している大屋さんである政府は、上手くお金を回して、経営を成り立たせているって感じと同じかな。」

「 まあ、大雑把にはそんな感じ。 でも、その大屋さんは見かけを良くする天才だし、金融の綱引きは抜群に上手いという感じかな。」


「 そんで、何で円安に向かって、その後円高なの? 」


「 それはね、これまでの流れなんだけど、円高の基調は同じなんだけど、今まで、日本は輸出産業の発展の面で、円安を容認してきたんだけど、政府の介入なんかもあったりして、何とかそれを維持してんの。 でも実際、チャートを見ると、アメリカのドルとユーロの綱引きに巻き込まれてて、どっかで反転しなと動きが取れないの、その反転が、円安になるし、その後は、円高の基調になると予想してんの。」


「 だいたい分かった。 俺もそんな感じしてるし、大きな変化っていつになるかは分かんないもんな。 」


そうこうしているうちに、部屋に戻ってきた。 二人で使ったタオルをタオル掛けにかけると、荷物の整理をした。着替えの準備しながら、明日の帰路に何処に寄って行くかを話すことにした。 


「 明日さ、日本海の方に行こうか? 」


「 そうなの? 近いの? 」


「 うん、近いよ。 車だと一時間くらいかな? それか金沢に足をのばすかだよ。 」


「 何か美味しもの食べたいな。 」


「 そっか、調べて見るわ。 」


・・・続く。。。・・・