短編 週末の恋人たち (16)
片岡は「ありがとう。」と言い終える寸前に、満面の笑顔になった。
もちろん、美佐もその表情をみて思い切り微笑んだ。美佐自身、中学の時以来の異性からの告白の経験であるが、こんな一瞬に出会えたことが嬉しかった。
片岡も女性への告白は数こそ少ないが、めったにしたことはない。くちべたも災いしているし、そんな状況を作り出すことは苦手な方である。
デザートが終わった頃に、レストランのスッタフが、お代わりのエスプレッソと紅茶を持ってきた。
「 ごめんなさい。条件は二つでした。」と美佐は、片岡に謝ったが、片岡はニコニコしているだけであった。
「 美佐さ、、、美佐。」
「 はい。」
「 食事も済みましたし、どちらに向かいましょうか?」
「 別にどこでもいいですよ。あっ、ひとつ行きたいとこがあります。 」
「 どこでしょう?今なら地獄でも行く勢いですけど。 」
「 海の見えるところがいいです。遠くなくていいです。近くで良いので海の見えるとこ。」
「 じゃあ、行きましょう。」
片岡は席を立つと、会計を済ませ、美佐を促した。