短編 週末の恋人たち (9


美佐が会社を出るまでは、10分とかからなかった。 会社のドアを開けた時には部長と片岡が立ち話をしていた。


部長は、「じゃあ、失礼するよ。 」と、美佐の「 お疲れ様でした。 」を聞く間もない勢いで去って行った。


片岡が美佐に近寄ると、「部長って、良い人ですよね。 」と声をかけた。


「 そうなんです。人が良すぎて部長止まりかも知れないですけど、社内の人望もありますし、社外の評判も良い人です。部長、、、何かおっしゃってました?」


「 いいえ、ただ僕に何も言わず、『よろしく頼む。 』って言いました。 」


「 そうですか、部長、感が良いですね。」


「 いや、僕が部長の誘いを断ったから、『先約あります。 』って、迷惑だった。 」


「 大丈夫です。ですから『よろしく頼』まれて下さい。」