ちーっと、いっぷく。
・・・・連続・私小説・三姉妹のFX・・・・・④-0

海の話は、単純だった。 FX取引を行う際には、自分の損失の許容額を確定させて、自分の試算の範囲内で目いっぱいのポジションを持てば、損失の許容範囲を少し超える額に損失が限定されるというものだった。 つまりは、ロスカットのシステムを上手く使って損失を限定させていくやり方なだけのことである。
僕の思っていたイメージも同じであり、方針が見えた気がした。

ちょうど海のレクチャーが終わったところで、「 ただいまーっ。 」と玄関から声が飛んできた。
「 おかえりなさーい。 」と玄関に空が駆け寄っていった。 玄関から表れた健一郎は、疲労困憊した顔をしていた。

「 おお。お帰り。 どうした、えらく疲れてんなぁ。 」
「 兄ちゃん、面倒なことだらけだよ。 今日さ、チョコレートくれるって言うから会ってたんだけど、電話がなった時点で、『 もう帰る。 』って拗ねちゃって、面倒だよ。 」と愚痴をこぼした。
「 まあ、面倒な娘だって、わかった上で付き合ってんだろうし、本人も可愛いから、男の扱いも馴れてんだろな。 」
「 でも、兄ちゃん、チョコレートも返せって言うのは、酷いだろ。 コンリンザイって感じに帰ったんだよ。 電話もメールも切ってるみたいだし、面倒だよ。 」
「 じゃあ、もう別れる? 」と空。
「 お前が言うなよな。 俺には、面倒だけど、一応彼女になってもらってんだから。 」
「 『彼女になってもらってる?』 その時点で、考え直したら。 」と空は切り捨てた。 健一郎は、それ以上何も言わず、自分の部屋に戻って行った。 その後を僕と海は眺めていたが、空がフォローしに健一郎について行った。
「 面倒だけど、アイツらしい考え方だよ。 」と海に言うと、「 そうだね。健ちゃんらしいね。 私たち兄弟は、健ちゃんの彼女みたいに、しおらしく女が出来ないのは、理解してね。 」と改めて、海が釘をさしてきた。

部屋から戻った健一郎と空は、買い物に行くと行って、上着を用意してきた。
「 今日は、空ちゃん特性のシチューにしますんで、楽しみにしててね。 健ちゃんは、荷物の係り、あと、何か買ってきて欲しいのもない? 」と声を掛けてきた。
僕と海は、空ちゃんに任せると伝えて、二人を見送った。

・・・続く。。。・・・