ちーっと、いっぷく。
・・・・連続・私小説・三姉妹のFX・・・・・③-5

海が僕を連れて行ってくれたのは、ちょっとひなびた感じのフレンチのレストランだった。 イメージしていたフレンチのレストランは、眺めの良いロケーションで静かに食事をする場所であるが、そのビストロは家庭料理を中心にしており、いかにもフレンチという雰囲気ではなかった。
「 おまえ、この店良く来るの? 」
「 ううん。 前ね、お友達が紹介してくれたの。 美味しくて楽しいフレンチのお店があるって。 」
「 そっか。 いい友達だな。 俺はこんな感じの店は好きなんだ。 かしこまってないけど、かしこまっても食事が出来る店でしょ。 」
「 私も好きなの、この店。 だから連れてきてあげたかったの。 」
こんな会話をしているうちに、ギャルソンがらしいが、ソムリエである証の葡萄のバッジをつけた男性がオーダーを取りに来たので、ランチメニューの肉と魚のコースを一つずつオーダーした。

「 おまえ、さっき何かFXってそのうち失敗するって言ってたよな。 」
「 うん、言った。 調子に乗った人はみんな大怪我をしてるの。 ネットでの戯言を真に受けてもだめ、良くさぁ、1年で資産を一億円にした、とかあるでしょ。 その辺は怪しいいのよね。 実際にトレードを完全に公開してる人って僅かだと思うし、儲かる方法教えます、ってあるけど、ほんとに儲かるなら教えてくんないと思うよ。 」
「 んーっまぁ、そうだよな。 下世話な例えだけど、パチンコだって初心者ってほとんど勝っちゃうんだよなぁ。 同じことだと思うよ。 一応これまで生きてきて、色んな失敗をしてきたから、肝に銘じておくよ。 」
「 でね、これは私の方針なんだけど、注文が成立したら必ず利益確保の指値の注文と損失を確定させるための指値を入れるの。 でも、普通の人は決済の指値を毎日変更したりしないんだけど、私は毎日変えるよ。 だから利益がでている時は、動きに合わせて変えるし、逆になった時も利益確保のままで決済できるわけ。 損失は自分が我慢できる範囲で指値しているから、大丈夫。 」
「 なるほどなぁ。 おまえらしいって言えば、おまえらしいな。 」
「 ネットにもあるし、取引画面にもある、トレール注文?だっけか、そんなのも使うの? 」
「 ううん、使わない。 激しい動きの時なんかは有効だと思うけど、トレール幅って固定じゃない。 そこがダメなの、私の固定は値段なの。 」

そんな会話をしているうちに、グラスが運ばれ、食前酒の甘い白ワインが二人の前に並んだ。 前菜が並び食事が始まると、海はニコニコしながら時折 「 美味しそうだね。」 「 これ、少し貰っていい? 」と話しながら、料理をたいらげた。 メインを魚と肉の両方にしたのは、僕とだと遠慮なくどちらも口に出来るからという理由だったらしい。 二人のランチタイムは、ゆっくりと流れていった。

・・・続く。。。・・・