ちーっと、いっぷく。

・・・・連続・私小説・三姉妹のFX・・・・・


クリーニング屋に寄って、先週出してあったワイシャツを確保して、海の希望通りケーキ屋さんに向う途中、「ねぇ、今週の洗濯物は出してないの?これ何日分?」と聞いてきた。 「ああ、これは先週分で、健一郎の分もあるからワイシャツが10枚かそれくらいかな? クリーニングって、出す時にお金払うだろ、だから持って行く順を決めて、これは俺が出して俺が回収。で、今週は健一郎の番、ってわけ。」と答えた。 「いわゆる、家族ルールね。 うちも女所帯だから、買い物の順とか料理の順番とか決めてるけど、お姉ちゃんは時々飲みに行くし、空ちゃんは遊びに出ると帰るの遅いしね。いつも私にまわってくるの。」と珍しく愚痴をこぼした。


ケーキ屋につくと、「おごり、おごり、何にしよーかなぁ?」 と陳列棚を覗き込んで、品定めをはじめた。


僕の部屋の近くのケーキ屋は、地味だけど美味しいという評判のお店である。 それなりに飾り立ててはいても、味がパッとしないお店が良くあるが、全く逆で、地味に可愛いいこしらえで、口に入れた瞬間に花が咲いた様な幸福感におそわれると言っても過言ではないほどの美味しさである。 店舗の拡大や支店を出さないかといった声もかかったそうだが、主人の女性パティシエは、『これ以上の規模になると目が届かなくなる』と言って、頑として譲らなかったとう噂もあった。 そんなケーキ屋さんのイチゴのショートケーキを1つ、かぼちゃのプディングを1つ、チョコレートケーキを1つ、僕の好きなモンブランを1つ、おまけにロールケーキを1本選んで、僕は代金を支払った。 「おごったのは良いけど、買い過ぎじゃ・・・。 」と言った瞬間、「 買いすぎじゃありません。 これもFX取引スタートの景気づけです。 」と僕の愚痴を押さえ込んだ。



僕はクリーニング屋の大きな袋を右手に持ち、左手をポケットに突っ込んだまま家路を歩き始めると、海はケーキの入った箱を左手に持ち、右手を再び僕のポケットに入れてきて、「帰ったら、コーヒーを入れて頂きます。それと景気づけにFXの口座開設も解説します。」と事務的な口調で話し始めた。

「 口座開設って、いきなり? 大丈夫か? まだ素人だし、まだ何にも解かってないよ俺。 」と言うと、

「 大丈夫です。 はじめは誰でも素人です。 口座開設は直ぐにできます。 お金は少しあれば充分です。 」と同じ口調で、「 FX取引は難しくありません。車の運転も教習所に行ったばかりの時は、難しく思うけど、みんな運転できる様になるんです。 私が教官なので、落第者は出しません。 」と続けた。

「 はい、解かりました。 コーヒーを入れて、口座の開設をします教官どの。 」と僕が答えると、「 よろしい。 コーヒーはブラックでね。」今度は口調を変えて、優しく答えた。



・・・続く。。。・・・