昔うちにはネコがいた。

ミミという名の女の子。

まだ子供だった僕はミミの気持ちが分からなかった。

ある時無理やり抱きかかえるとミミの鋭い爪が僕の鼻筋を引っ掻いた。

痛っ!と叫んで思わず手を離した。

まんまとミミは逃げる事が出来た。

その傷は今もうっすらと残っている。

でも僕が小学5年生の時にミミは死んだ。


それから半年ほど経った頃、父がシャム猫を貰ってきた。

今度は男の子だ。

僕は興奮した。

その日の夜どんな名前にしようかと父と一緒に考えた。

トニー、ジャック、シャープetc。

強そうでかっこいい名前を考えて父に伝えた。


次の日学校から帰ってくるとみんなが口々にそのシャム猫に向かって新しい名前を呼んでいた。

そう名前が決まったのだ。

夕べ一所懸命考えた数々の名前を思い出したがどうもおかしい。僕はみんなが呼ぶ名前を冷静に鼓膜に響かせた。そして我が耳を疑った。



みんなが口々にベル、ベル、と呼んでるではないか。


僕は腰が砕けそうになった。

昨夜考えた名前の候補はイッタイ何処へ行ったんだ。


ともあれ「ベル」は家族の一員となった。


小学校6年生の秋、僕は高熱を出ししばらく寝込んでいた事があった。

結局は虫垂炎で手術のため1週間入院した。子供の僕にはその1週間がとても長かった。

退院して晴々とした気持ちで家に帰るとベルは死んでいた。


今まで通りの学校生活に戻り秋の運動会の練習に励んでいた時、ふと空を見上げベルを思い出した。そしてベルの分まで運動会を頑張ろうと思った。








猫の可愛い写真見せて!

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