【映画】家出レスラー~日米プロレス映画対決の結果は? | 鶏のブログ

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【監督】ヨリコジュン

【原案】岩谷麻優『引きこもりでポンコツだった私が 女子プロレスのアイコンになるまで』

【制作国】日本

【上映時間】105分

【配給】ブシロードムーブ

【出演】平井杏奈(マユ)

    向後桃(流香)

    ゆきぽよ(東子)

    朱里(羅月)

【公式サイト】

 

トップ女子プロレスラーである岩谷麻優の半生記を映画化した作品でした。同様のプロレスを題材にした映画というと、つい先月公開されたアメリカ映画「アイアンクロー」の記憶が鮮烈で、日米プロレス映画対決の結果や如何にということで本作を観に行きました。

結論から言うと、同作と比べると正直あまり熱量が感じられませんでした。その最大の理由は、役者がどれだけプロレスに打ち込んだのかという点。「アイアンクロー」で主人公のケビン・フォン・エリックを演じたザック・エフロンは、本物のレスラー顔負けに鍛え上げて登場。しかも筋骨隆々の身体つきだけでなく、技についても相当練習を積んだことが伺えました。
一方本作で主人公のマユを演じた平井杏奈の場合、ストーリーの関係上、大半は“ポンコツレスラー“を演じたので、華麗な技を披露する機会そのものが少なかったことはあります。ただ、スターダムのトップ選手となり、メインイベンターとして闘った終盤の試合のシーンでは、岩谷麻優の得意技であるムーンサルトプレスやドラゴンスープレックスは別人(恐らくは岩谷麻優本人なんでしょう)が技を掛けている映像と繋ぎ合わせていて、がっかりしてしまいました。勿論アクションシーンでスタントを使うことは当たり前にあることなので、高度かつ危険な技のシーンをプロが代替するのは否定しませんが、前述の「アイアンクロー」とか、昨年Netflixで話題になった「サンクチュアリ -聖域-」における一ノ瀬ワタルの熱演を観た後だと、どうしても満足度は低くなってしまいました。というか、マユ役に役者を起用するのではなく、岩谷本人が演じた方が、少なくとも映画としては良かったんじゃないかと感じました。

またストーリーとしても、家出の一因となった母親との関係を、最後の最後でハッピーエンドに持って行きましたが、いくらなんでも無理のある展開だったように思います。この辺も、毒親であるフリッツ・フォン・エリックと息子たちの関係に焦点を当てた「アイアンクロー」と関連のあるテーマだっただけに、安易にハッピーエンドにしてしまったのは、映画としては悪手だったように思えました。まあ考えさせる類の映画ではなかったと言えばそれまでですが・・・
さらに、竹中直人演ずるグッシーの位置づけも微妙。せっかく本作随一の名優が演じる登場人物なのに、殆ど寝ているだけで、彼の人物像に全く迫れていなかったのが残念でした。
因みにグッシーのモデルであるロッシー小川が、先ごろ選手の引き抜き行為などを理由にスターダムから業務委託契約を解除され、実際数名の選手がスターダムを去ってロッシー率いる新団体に移籍したとか(勿論岩谷麻優はスターダムに残留)。映画外の実際の動きは、作品そのものとは無関係とは言え、本作の劇場公開に水を差す流れがあったことは不運だったと言えるかとは思います。

そんな訳で、日米プロレス映画対決はアメリカに軍配を上げざるを得ない結果となりました。そんな本作の評価は、★2とします。

 
総合評価:★★

詳細評価:

物語:★★
配役:★★★
演出:★
映像:★★★
音楽:★★