【映画】マッド・ハイジ~斬新すぎるハイジ後日譚 | 鶏のブログ

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【監督】ヨハネス・ハートマン

【原題】 Mad Heidi

【製作国】スイス

【上映時間】92分

【出演】アリス・ルーシー(ハイジ

    マックス・リュートリンガー(クノール司令官

    キャスパー・ヴァン・ディーン(マイリ)

【公式サイト】

 

幼い頃に観ていたテレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」の後日譚(?)的な作品でした。本作は7月14日に封切られましたが、同じ日に封切られた「君たちはどう生きるか」の宮崎駿監督や、同じスタジオジブリで活躍した高畑勲監督らが製作に携わった「アルプスの少女ハイジ」でしたが、本作はアニメではなく実写。ただ後日譚とは言え、アニメの世界観は一切引き継いでいないのは承知で観に行きました。

 

内容的には、ペーターやおじいさんが独裁政権に殺されてしまい、ハイジがその仇を討つというかなり斬新なストーリー。スイス映画を初めて観る光栄に浴した訳ですが、まさかこうしたR18指定のB級映画でデビューを飾るとは思いもよりませんでした。

そんなトンデモ映画でしたが、スイスで政権を握り、自ら経営するチーズ会社以外のチーズは食べてはいけないという法律を制定したマイリ大統領は、お決まりのヒトラー的要素もありつつ、北の将軍様的な味付けもありました。スイスの映画なので将軍様に寄せる発想はなかったのかも知れませんが、使い古されたヒトラーではなく、現在進行形の独裁者である将軍様の要素をもっと濃くしてくれれば、より笑えたように思いました。

また、残虐シーンが結構出て来ますが、ガチのホラーではなく、ドタバタコメディとかエロの要素もあることから、怖さというのは殆ど感じません。そういう点から考えると、もっとブラックな笑いの要素を入れてくれればとも思いました。

それからハイジ役のアリス・ルーシーですが、後半独裁政権と闘うシーンになると、完全に”マッド”な雰囲気になってしまいましたが、あの可愛らしかった子供の頃のハイジの雰囲気を残しつつ独裁政権側を倒していった方が、オールドファン的にはもっと感情移入できたような気もしました。

 

因みに「アルプスの少女ハイジ」の母国である日本への配慮(?)からか、ハイジが独裁政権に立ち向かうために行うトレーニングは、忍者のそれだったり日本刀を使ったものでした。ただアクションシーンはかなりショボく、これまたちょっと残念なところでした。

まあそれもこれもB級映画だと思えば許せるところですかね(笑)

 

あと、日本のアニメである「アルプスの少女ハイジ」を題材にして、何でスイスがこういう映画を作ったんだろうという疑問があったのですが、調べてみたらヨハンナ・シュピリという19世紀のスイスの女流作家が、ハイジの原作を書いていたとのこと。そしてアニメは日本だけでなく、ヨーロッパでも広く放映されていたそうで、そういう意味では、ハイジの里帰りという意味合いもある作品だったんですね。エンディングで、「次はハイジとクララだ」と予告編めいたことを言ってましたが、果たして第2弾はあるのかな?

 

いろいろと注文を付ければキリがありませんが、クラウドファンディングで製作資金を集めて作った点や、久々にハイジを映像作品として観られたことについては、最大限の賛辞を送りたいと思います。

 

総合評価:★★

詳細評価:

物語:★★
配役:★★
演出:★
映像:★★
音楽:★★★