鶏のブログ

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観た映画、読んだ本などについてのメモです。
”ネタバレ”を含みがちなので、その点ご容赦下さいませ。

【監督】デビッド・ロバート・ミッチェル

【原題】The End of Oak Street

【制作国】 アメリカ

【上映時間】100分

【配給】東和ピクチャーズ、東宝

【出演】アン・ハサウェイ(デニース)

    ユアン・マクレガー(グレッグ)

    メイジー・ステラ(オードリー)

    クリスチャン・コンベリー(ブライアン)

【公式サイト】

デビッド・ロバート・ミッチェル監督の『オークストリートの異変』を鑑賞しました。オークストリートの街ごと2億年前の恐竜時代へタイムスリップし、住民たちが恐竜たちに襲われるという、設定だけを聞けばやや陳腐な作品です。しかし、危機的状況に陥った時の人間の感情や行動が意外なほどリアルに描かれており、その点がなかなか面白かったです。

 

特に興味深いのが、タイムスリップ前から離婚の危機にあったデニース(アン・ハサウェイ)とグレッグ(ユアン・マクレガー)の夫婦関係です。恐竜時代に放り出されてからも夫婦喧嘩を続けているのが妙に生々しく、そんな状況でも4人が居間に集まって眠るあたりは、危機対応として非常に適切だと感心しました。いたずら好きの飼い犬が重要な役割を果たすのは予想通りでしたが、夫婦関係が少しずつ修復されていったところで、グレッグがデニースを守って命を落とす場面は、本作最大の見せ場でしょう。

 

恐竜はAIやCGによるものですが、これがかなり自然で、しかも迫力満点です。人間ドラマと恐竜描写は十分楽しめました。一方、恐竜に食い殺されたはずのグレッグが最終的に生き延びる結末は、少々子ども向けすぎる印象で、「ドラえもんか!」と思ってしまいました。個人的には、インスタントカメラで撮影した恐竜とグレッグとのスリーショットを抱えてデニースだけが生き延びる、くらいのほろ苦い結末の方が良かったんじゃないかなと思いました。

それにしても、AIによる映像表現がここまで進化すると、いずれ実写映画そのものがなくなってしまうのではないか、などと思いながら劇場を後にしました。

 

そんな訳で、本作の評価は★3.6とします。

 

総合評価:★★★☆

 

詳細評価:

物語:★★★
配役:★★★★
演出:★★★★
映像:★★★
音楽:★★★★

【監督】パスカル・ロジェ

【原題】Martyrs

【制作国】フランス・カナダ合作

【制作年】2008年

【レイティング】R18+

【上映時間】100分

【配給】OSOREZONE

【出演】モルジャーナ・アラウィ(アンナ)

    ミレーヌ・ジャンパノイ(リュシー)

    カトリーヌ・べジャン(マドモアゼル)

【公式サイト】

ホラーマニアの友人が激推ししていた、パスカル・ロジェ監督のフレンチホラーの名作と言われる『マーターズ』を鑑賞しました。

 

拉致されていた少女が逃げ出す場面から始まる展開には、去年の夏に観た『ストレンジ・ダーリン』を思い出しました。もしかすると、あの作品の冒頭は『マーターズ』へのオマージュだったのでしょうか。逃げてきた少女リュシー(ミレーヌ・ジャンパノイ)は、その後もPTSDによると思われる幻影に苦しめられ続けます。そして15年後、かつて自分を拉致した犯人を見つけ出し、復讐を遂げます。ところが、そこにいたのは一見すると何の変哲もない4人家族でした。この一家4人殺しのシーンは前半の山場で、ホラーと言うよりもライフルによる直接的な銃撃と撃たれた人の描写が非常にリアルで、かなりのインパクトでした。積年の恨みを晴らしたリュシーでしたが、一家を惨殺した後、再び幻影に襲われて最終的には自殺してしまいます。

 

これですべてが終わったかと思いきや、実はここからの本題。残された親友アンナ(モルジャーナ・アラウィ)が一家の家を調べると、地下には秘密基地らしき部屋があり、謎の団体が人体実験を行っていたらしいことが判明します。そして今度はアンナ自身が拉致され、手枷を嵌められて拘束され、理不尽な暴行を受け、椅子に座らせたままの排泄させられ、さらには非常にマズそうな食事の強要をされるなど、凄惨な扱いを受け続けます。やがて、この団体がカルト集団であり、死後の世界を目撃するための実験として、こうした蛮行を繰り返していたことが明らかになります。

 

前半のリュシーによる惨殺シーンもそうでしたが、後半の展開もホラーというよりは、現実に存在しそうな狂信的カルト集団の話で、幽霊や怪物が出てくる怖さとは全く質的に違いました。最終的にアンナは全身の皮を剥がされるという凄惨な実験の果てに、ついに「死後の世界」を見ることになります。その内容を耳打ちされたカルトの代表マドモアゼル(カトリーヌ・べジャン)は、信者たちに伝えることなく自殺してしまいます。結局、死後の世界は本当にあるのかないのか。おそらく、彼女が期待していたような世界ではなかったからこそ、絶望して自ら命を絶ったのではないかと思いましたが果たしてどうなのでしょう。

 

いずれにしても、悪趣味極まりない作品でした。主に若い女性を拉致の対象とし、レイプこそないものの、徹底的な暴行、陵虐を加える描写はサディズムの極致で、嫌悪感を抱く人も多いと思います。まあ、こういう作品を好む好事家もいるのでしょうけど。

一方で、残虐シーンの映像は極めてリアルで、怖いというよりも、特殊メイクや美術スタッフの仕事のレベルの高さに感心してしまいました。また、リュシーとアンナを演じた二人の女優の迫真の演技も凄まじく、あれだけの撮影をしてトラウマにならなかったのかと思うほどです。

 

ホラーというよりスピリチュアルを煮詰めていった「狂信的カルト」の物語であり、いわゆる人怖系の作品だと思います。というか、題名の「マーターズ」というのが、「殉教者」という意味だと知った上で観ていたら、もう少し予測可能なお話になっていたように思えました。

いずれにしても、それを「好きかどうか」は別問題として、残虐描写や死体のグロテスクさについてはとにかく上出来で、これほど観る人を選ぶ作品も珍しいのではと思いました。

 

そんな訳で、本作の評価は★3.8とします。

 

総合評価:★★★★

 

詳細評価:

物語:★★
配役:★★★★★
演出:★★★★★
映像:★★★★
音楽:★★★

【監督】ツォウ・シーチン

【原題】左撇子女孩 Left-Handed Girl

【制作国】台湾・フランス・アメリカ・イギリス合作

【上映時間】108分

【配給】スターキャットアルバトロス・フィルム

【出演】ニーナ・イエ(イージン)

    マー・シーユエン(イーアン)

    ジャネル・ツァイ(シューフェン)

【公式サイト】

 

ツォウ・シーチン監督の台湾映画『左利きの少女』を鑑賞しました。題名から、左利きの少女イージン(ニーナ・イエ)が主人公なのかと思っていましたが、実際には姉のイーアン(マー・シーユエン)に重点が置かれていた感がありました。その点かなりミスリード感のあるタイトルですが、鑑賞後の印象は決して悪くありませんでした。

 

本作を観て初めて知ったのが、台湾、あるいは中国文化圏には左利きを忌避する言い伝えがあるらしいということです。イージンに「左手に悪魔がいる」と言う祖父の頑迷さには驚かされますが、それに対して母シューフェン(ジャネル・ツァイ)やイーアン、シューフェンの母親らの生き方は、倫理や道徳、さらには法律までガン無視していて、これはこれで凄まじいものがありました。ただ、ビジネスで成功しているらしいシューフェンの弟のスノビッシュで嫌らしい人物像に比べれば百倍マシですし、彼女たちの剥き出しの感情の方がずっと人間的で魅力的でした。

 

ところで子供と動物が出てくる映画は、それだけで泣かせに来ているようで反則だと思っていますが、本作ではイージンは実質的に二番手ですし、シューフェンの元夫が遺したミーアキャットも中盤で悲劇的な退場をするため、子供と動物だけで涙を誘う作品になっていなかったのは安心しました。一方、イーアンと不倫関係にあった檳榔店主の妻や、イーアン本人の剥き出しの欲望と感情はかなりえげつないものの、妙に生々しく、人間臭くて好感が持てました。

台湾名物の檳榔売りも印象的でした。露出度の高い衣装で客を呼び込む姿が知られていますが、調べてみると、本作でイーアンらが着ていたセクシーな服装は、実際に規制の対象になっているそうです。こうした台湾社会の風俗を垣間見ることができるのも面白いところでした。

 

出演者では、イージン役のニーナ・イエが中々の天才子役だと思いました。ただ、イージンは5歳設定ということでしたが、それにしてはあまりにも大人びていると思っていたら、本作が制作された2025年時点で、実際には9歳だったそうです。実質的な主役であるイーアン役のマー・シーユエンは、若い頃のMEGUMIに少し似ているように見えました。喜怒哀楽の表情が非常に豊かで、本作を印象深いものにしています。また、シューフェン役のジャネル・ツァイは妙に色っぽい演技をしており、夜市の隣の店の店主が惹かれてしまうの展開には説得力がありました。

 

姉妹だと思っていたイージンとイーアンが、実は母娘だったということが明かされるなど、ストーリーにはかなり重たい部分がありましたが、4代にわたる女性たちの、力強くも「なるようにしかならない」生き方と、台北の亜熱帯らしい明るい雰囲気がうまく組み合わされています。人生のままならなさに翻弄されながらも、決してめげないことの大切さを感じさせてくれる作品でした。

 

そんな訳で、本作の評価は★4.0とします。

 

総合評価:★★★★

 

詳細評価:

物語:★★★★
配役:★★★★★
演出:★★★★
映像:★★★★
音楽:★★★★