6話 【過去編】


―過去―

「今日このクラスに転校生が来ました!

『未来有梨沙』ちゃんです」

ペコッ

私は軽くお辞儀をして

一番後ろの空いていた、葵の隣の席に座った。

これが私と葵の出会いだった。


≪ねーねー転校生来たんだって?どんな子?≫

≪あそこ、晴香君の隣の席の・・・・。≫

≪アイツの体見たか?体中痣だらけでさ、

なんかアイツと一緒にいるとこ見られたくねぇわ。≫

≪未来も晴香も友達0だから、ボッチコンビな!≫

≪何言ってんの男子!

未来さんはともかく、晴香君はボッチじゃなくてクールな一匹狼なの!≫

≪んなもん両方一緒だろw≫

『ここでもこの痣のせいでこの扱われ方か・・・・。』そう思っていた。


「はぁ、家帰りたくないな。帰っても叩かれるだけだし・・・・。

どっか寄り道でもしてこうかな。」

私は公園で時間をつぶしたり、

ゆっくり歩いたりしていてある神社を見つけた。

「へぇ、こんなところに神社なんてあるんだ。」

神社の敷地内をウロウロと歩いていると、

そばの茂みから音が聞こえた。

ガサッ

「なんだろ?」

茂みをかき分けた先には人影があった。

「・・・・誰?」

その人影がゆっくりと後ろを振り向く、人影の正体は葵だった。

葵の後ろには、小さくてモフモフしたものがいた。

「犬!」

私が急に大きな声を出したせいか葵がビクッとした。

「・・・・犬好きなの?」

コクン

「コイツ『小豆』っていうんだ。

・・・・触ってみる?」

「いいの!?」

「うん」

私はソォーっと手を伸ばし、小太郎の口の下の部分を触った。

モフッ

途端に私の表情が緩んだ。

「フフッ、かわいい。」



少しすると、私は小豆から手を放して葵に向き直った。

「は、晴香くん、ありがと。」

「・・・・?俺なんかお礼言われるようなことしたっけ?」

「あ、いや、その・・・・『触ってみる?』って、誘ってくれたから。」

「・・・・そんなことで?」

プックスクス

葵が急に笑い出した。

「未来さんて面白いね」

「そ、そうかな?」

私は少し照れくさそうにした。

「・・・・ごめん。」

「お礼の次は謝るの?」

「私、晴香くんてもっと怖い人なのかと思ってた。

・・・・でも、こんなにやさしく笑う人だったんだね。」

その言葉を聞いて、葵は少しビックリした顔をした。

「・・・・別に悪いとか思わなくてもいいよ。

俺も、未来さんのこと暗い人だと思ってたし」

「お互い様・・・・だね」