1話 【人気者】


―東京都 月詠学園―

「起立、礼」

「ありがとうございました。」

ガラッ

HRが終わった瞬間、教室の扉が勢いよく開いた。

「有梨沙、帰ろ!」

入ってきたのは、学園内一のイケメンとも噂されている『晴香 葵』。

「あおごめん!どうしても行きたいとこあるから今日は門までね。」

そう返事をしたのは、私『未来 有梨沙』。

≪キャー、葵くんよ!≫

≪葵くん未来さんなんかほっておいて、私たちと遊ぼうよ!≫

クラスの女子たちが葵を囲った。

「うるさい。」

だけど、葵はそんな女子たちを気にも留めずに、

私の方へ向かってくる。

「あお、待たせてごめんね。門までだけど行こっか!」

私がニコッと笑ってみせると、

それに返すように葵も微笑んでくれた。

「うん、行こう。」


門のところまで着くと、葵は私の頭を軽くポンポンと叩いた。

「じゃぁ、また家でな。」

葵は少し寂しそうな顔で言った。

「うん、またあとでね!」

私はそう言って家とは反対方向へ歩いて行った。