No.2 【別れ】


しかし、そんな楽しい時間も長くは続かなかった。

私が『モノ扱い』されている最中に、扉の開く音が聞こえた。

ガチャ

「あれ?先輩いないじゃん。」

匠さんの視線が、ソファから私のいるベッドへと向けられ、

硬直しているのが見えた。

『匠さんに知られた・・・・!嫌われちゃう!』私はそう思ったのと恥ずかしさで、

両手で顔を覆い泣き始めた。

直後、「先輩」と呼ばれた人が振り返り言った。

「あぁ、匠か。悪ぃんだけど今、手離せないから後にしてくんねぇか?」

匠さんは我に返って「先輩」に聞いた。

「・・・・先輩、何やってんすか?」

「先輩」は、当然という顔で答えた。

「何って見れば分かんだろ?×××だよ。みんなしてんだろ。」

ガタッ

急に激しい物音が聞こえ初めて、

顔を覆っていた手をどけて見てみた。

するとそこには、「先輩」と呼ばれた人が匠さんにボコボコにされていた。

「匠・・・・さん」

匠さんは私の方を向いて聞いてきた。

「さらは嫌々やってたんだよな?叩かれたくなかったから!」

コクン・・・・コクン

私は泣きじゃくり目をこすりながら何度も頷いた。

「ホントは怖くて嫌で、

だけど『嫌だ』なんて言ったら叩かれるから・・・・!」

「さら!」

匠さんの方を向くと私に向かって手を伸ばしていた。

私が匠さんの手を取ると、匠さんは私を引っ張り走り出した。



裏口まで着くと匠さんは手を離して言った。

「さら・・・・逃げろ!」

「え?でもそしたら匠さんが・・・・!」

私が言ってる途中で匠さんが地面に膝をつき抱きついた。

「・・・・大丈夫だから。お前は行け。」

そういうと、匠さんは私の背中を2回ポンポンと軽く叩き立ち上がった。

「匠さん、ありがと」

私は、匠さんに笑顔でそう答え走って行った。

「・・・・笑えるじゃねぇか。」



私は必死で走り続けた。

数回立ち止まり『もしかしたら・・・・』そう思って振り返った。

でも、それは幻想でその考えが現実に起きる前に、

私は意識を失ってしまった。