★教えてteacher:8 (誓いのキス:鴻上大和) | ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
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日々の出来事など。

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「…女子日?」

 

「…そう。そう、なの。」

 

頬を引きつらせる大和さんにアハハと笑うしかなかった。いつもより少し帰りが早かったように思う。仕事のキリが良かったのか、もしくは昨日の約束があるから定時で上がったのか…出来れば前者であって欲しいんだけど、

 

「だから…今夜は…。」

 

「アレ使えばよかった…」

 

「え?」

 

「あ〜〜〜……。」

 

「ハハ…」

 

後者だったらしい…。

 

「…マジか…。」

 

テーブルに手を付き 難しい顔をしている…その横顔に苦笑いながらもため息が出た。

 

私だってそんな気分。ハァ、なんてタイミング悪いんだろ…。

 

「…あ、そうだ、久仁彦おじさんがね、大和さんにお土産だって、預かったの。」

 

私はそそくさと紙袋を差し出す。彼の好物で機嫌を取れればと…だけど

 

「わらび餅。好きでしょ?」

 

「…わらびもち…。」

 

好きなはずなんだけど…どうしてだろう、

 

「なんの嫌がらせ……。」

 

あからさまにがっくり肩を落としてしまった。

 

「…。ねぇ大和さん、ごめんね。…」

 

「別に謝ることじゃねー。」

 

「もう…ごめんね??」

 

「いい。もういい。」

 

「ごめん!!」

 

「いーーーーい!」

 

なんのやり取りなの、だからもうタイミングが!!

 

「そもそもオレが用意して無かったわけだし。」

 

開き直ったわけではないだろうけど、私の頭をポンと叩き 寝室に着替えに向かう。私はいそいそと追いかけながら 脱いだスーツを受け取った。

 

「横になってなくて良いのか?怠いんじゃねぇのか。」

 

「大丈夫。私そういうのなくて。平気だよ。」

 

「なら良いけど。女子日ね…。ま、先は長ぇからな。次回を楽しみにしとく。」

 

ニカッと笑われるとなんだか恥ずかしくなる。先は長い…そうよね、確かにそうだもんね。

 

「しかし昨日のぶう子、エロかったなぁ。」

 

「だからそういうこと、言わないで!」

 

・・・・

 

「ねぇ、大和さん。」

 

「ん~?」

 

夕食後 眠る前のひととき 

 

二人ソファで過ごす。大和さんは私の膝枕でのんびりテレビを観ていた。

 

のんびりとは言っても私はドキドキしていた。というのも膝枕…この行為が初めてだったから。

 

恋人に成り立ての私たち。抱きしめキスもするけれどそれは基本寝室でだけの出来事で、

 

明るい照明の下ではまだ照れくさいというか 様子を伺うというか少し恥ずかしさがある。

 

でも昨日の今日 さすがに大和さんとの距離は近い。遠慮も躊躇もなくゴロンと私の膝を枕にし私はそれを受け入れた。

 

「ごめんね。昨日約束したのに。」

 

柔らかな髪をゆっくりと撫でる。さすがに今日は昨日のショートパンツではない。いつものロングワンピースだ。

 

「まーしょうがねーよ。お預けくらうのも悪くねーし。」

 

「悪くないの?」

 

「次は覚悟しとけよって話。」

 

ゴロンと体勢を変え 仰向けになる。余裕な笑みに見上げられクスッと笑った。

 

「なんかこわい。」

 

冗談のような本気のような会話に二人笑う。

 

「ぶう子も今夜楽しみにしてたんだな。」

 

「そんな直球で言われると…」

 

「なに。」

 

「なにって…」

 

「なにー?」

 

大和さんは体を起こし隣に座り直す。そして私の肩を抱き横から顔を覗き込んだ。

 

「楽しみにしてた?」

 

意地悪な笑顔。私は少し頬が桃色になるのを感じながらも答えた。

 

「…大和さんの全部、知りたかったなぁとは思ったよ。」

 

チラッと目を合わせれば優しい瞳が見つめ返す。凝視出来なくて目を背けたらフッと笑った。そして

 

「煽るよな、ぶう子は。」

 

「え、そんなつもり…」

 

あ…

 

重ねられた唇は優しく…と言うより

 

「我慢してんのに。サラッとすげー口説き文句言う。」

 

熱くて…。え、この感じって…。

 

後頭部に周った手 グッと抱き寄せられ、重ねただけのキスが向きを変えながら徐々に深くなる。

 

ちょ…ちょっと待って

 

「…っ大和さん、」

 

「キスだけ。」

 

キスだけ…とは思えない熱を持った吐息が私の呼吸までも塞ぐ

 

「待っ…」

 

「…触るだけ。」

 

手が胸に伸びたら身体がビクッと震えた。

 

昨日の夜の続き まさにそんな風で。

 

ロングワンピースはたくしあげる事は出来ないから大和さんの手を直接肌に感じることはない。それでも

 

グッ…

 

ソファに倒され大和さんの身体の重みを感じる頃には

 

「ハァ…」

 

ドロップショルダーは簡単に肩を晒すから肩先にも首筋にもまったりとしたキスは降ってくる。無意識に足を曲げればスリットの入った裾は捲れて

 

「…っ…」

 

太腿には手のひらを感じて。

 

「…とろ〜んとした顔してる。」

 

キスの合間に私を見つめ言った。

 

「すげーそそる…」

 

自分こそ妖艶な眼差しで見つめてくるくせに…。

 

大和さんの呼吸が生地越しに胸元を熱くする 先を挟むふりをする

 

「っ…」

 

「***…」

 

…ホントもう…なんで女子日なの…。

 

気持ちが通じ合ったら 一度でも求め合ったら。

 

「…ハァ。…マジで次覚悟な。」

 

「…ハイ。」

 

心だけじゃなくて身体まで欲してしまうこと、この夜知ったかもしれない。

 

・・・・

 

「…寝ちゃった。」

 

深い夜 大和さんは小さな寝息を立てながらスヤスヤと眠る。相変わらず私を抱き枕にして。

 

ベッドに入ってからソファでの続きをすることは無かった。ただこうしてギューッと私を抱きしめ額にキスをしてから大和さんは眠った。

 

こういうのを大事にされてるっていうんだろうな…。

 

くすぐったいような幸福感でつい頬が緩む。だけど

 

「…聞けなかったな…。」

 

その吐息を感じながら思っていた。

 

大和さんにとってアカリさんってどんな存在なんだろう…

 

大和さんの電話の様子も久仁彦おじさんの様子も

 

…なんだか気になる。

 

胸の奥に引っかかる何か。取り切りたくて愛おしいぬくもりに頬を擦り付け私は目を閉じた。

 

 

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