★教えてteacher:6 (誓いのキス:鴻上大和) | ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
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「情けねー…。ホント情けねー。」

 

あー…

 

ブランケットを胸に抱き体を起こした。大和さんは私に背を向けたままため息を吐きまくっていて

 

「…あの…」

 

「ハァ〜…。にしてもマジか…この状態でできねーとか…。…おいぶう子!」

 

「え、はい!」

 

大和さんは不機嫌極まりない顔で振り返る。そして私の肩を掴み

 

「続きは明日。絶対明日な?!」

 

「う、うん…わっ…」

 

「あークソ、抱きてー!!」

 

強く抱きしめて。

 

「ハハ…」

 

最悪だ気分悪ぃとかブツブツ肩先で言っている。肩越しチラッとクローゼットに目を向けた。

 

「…。…」

 

え、あるよね、スーツのポケットに。

 

お昼に見つけてしまったアレ。大和さん、忘れてるのかな

 

言うべきかどうか一瞬迷う。でも良いよね言っても…だってまだ身体は熱い…

 

「…あの、大和さん。」

 

「ホント拷問でしかねー…」

 

「…。ねぇ大和さん、」

 

「ぶう子、風呂入らねーか?一緒に。」

 

「…あの、いや、ええ??ちょっ!」

 

有無を言わせない勢いで私を抱える。ブランケットを抱きしめたままアタフタとしたんだけど

 

「あの!」

 

「ん?…なんか聞こえる…」

 

BB〜…BB〜

 

大和さんの携帯のバイブ音。私はソッとベッドに降ろされて。

 

あああ、タイミングがーー…!

 

「誰だよ。ん?勇太?……もしもし。どうした?」

 

大和さんは携帯片手にキョロキョロし私の下着を手に取った。そして手渡しながら自分の下着を身につけ始め

 

あああ…ホントにタイミングが…。

 

大和さんもうその気無いや…。

 

私はトボトボと下着を身につけて。

 

「…アカリが?」

 

ん?

 

その時…大和さんは私に背を向けていたから表情までは分からない。

 

だけど明らかに声の調子が変わった。一瞬息を飲み込んだ。

 

どうしたんだろ。アカリ…って誰だろ。

 

「…そか。…分かった。…」

 

ルームウェアを着ながらチラチラと気にする。長引くようなら邪魔かな 喉も渇いたしお水飲みに部屋を出ようとした。

 

「…会わねーよ。」

 

ん?

 

すれ違いざま横顔を見たら

 

「会うつもりはねー。」

 

随分と素気ない低温な声で答えているところで。

 

大和…さん?

 

目が合う。慌てて頬を緩ませた。そして私がキッチンを指さすと小刻みに頷いた。

 

…なんか変。

 

「……ハァ。分かったよ。気が向いたらな。」

 

背後に会話を聞きながらキッチンに向かう。そうしたら グラスの破片が床を煌めかせていた。

 

あ、そっか そのままだった…。

 

…カチャ カチャ

 

シンクの前 屈んでいたら電話をしているのは分かるものの会話までは聞こえない…あ、でも笑い声 差し障りのない話に変わったみたい…。

 

破片を拾いながら胸の中にモヤがかかる

 

アカリ…って誰だろう 大和さんとどういう関係なんだろう

 

「…なんか様子が変だった…」

 

相手は会いたがってるんだよね…でも会わないんだよね?会わないのはどうして…。

 

「おい、コラ。」

 

「え、わっ」

 

背後から掛けられた声に驚き立ち上がる。そうしたら

 

「触るなっつっただろ。ハァ、全く言うことを聞かねー。」

 

仁王立ちしていた大和さん。その大袈裟にも見える態度に思わず吹き出した。

 

「ハイ。すいませんでした。」

 

「ったく。怪我ねーか?」

 

「大丈夫。」

 

顔を見合わせ笑い合う。いつもの大和さんで内心ホッとする。

 

「ぶう子。」

 

わっ…

 

手を引き 胸に抱きしめられた。いつもより体温の高い彼の胸に頬を埋めたら

 

「…内心、付け無くてもいーじゃねーかと思ってる。近い将来オレの本当の奥さんになるんだから。」

 

え…

 

大和さんの声が深く響いた。

 

「だけど、古くせーかもしれねーけど、授かりものとは言っても順序は守りたい。オレはもう少し恋人としてのお前を感じたい。」

 

…うん、そうだね。

 

「分かってくれるか?」

 

顔を覗き込む。私は照れくさいながらも微笑み返した。

 

「そういうとこ、…好き。」

 

・・・・

 

「じゃ、一緒に風呂入るか!」

 

「え、ヤダ。それは無理。」

 

そのあとじゃれ合っていた。それもあって気づかなかった。

 

…BB…BB…

 

『アカリ』。その名で大和さんの携帯が震えていたこと。

 

 

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